英金融大手HSBCホールディングス(ティッカーシンボル:HSBC)傘下のHSBCアセットマネジメントは8月11日、生物多様性の保全に積極的に取り組む企業を投資対象としたETF「HSBC World ESG Biodiversity Screened Equity UCITS ETF」を発行した(*1)。生物多様性の観点から銘柄をスクリーニングするETFとしては世界初になるという(#1)。
HSBCがあらたに組成したETFは法人および機関投資家を対象とする。顧客はファンドへの投資を通じ、生物多様性に配慮したポートフォリオの構築をはかれる。同ETFは、金融機関などを対象としたサステナビリティ(持続可能性)関連の開示規則「サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」の金融商品レベルの開示のうち、環境(E)や社会(S)の特性を促進する金融商品(8条商品)に該当する。
HSBC、ユーロネクスト、アイスバーグ・データ・ラボ(IDL)が共同開発した「Euronext ESG Biodiversity Screened Index 」シリーズに連動した投資成果をめざす。同シリーズは生物多様性に配慮して銘柄をスクリーニングする株式インデックスとして世界初になるという。親指数は「Euronext World Index」。
3つのフィルタリング基準にもとづき、特定の業種や企業を投資対象から除外する。具体的には①殺虫剤、狩猟、捕鯨などの社会的責任投資(SRI)フィルター、②サステナリティクス社のリスクパフォーマーメソドロジー下位25%を除外するネガティブESGスクリーニング、③企業が生物多様性に与える影響を測定するツールとしてIDLが開発した「コーポレート・バイオダイバーシティ・フットプリント」(親指数に対して35%大きい)をもちいる。
フィルタリング後、同ETFは「コーポレート・バイオダイバーシティ・フットプリント」および「サステナリティクス・ESG・リスク・スコア」のパフォーマンストップ500企業で構成する。現状では生物多様性に関する包括的なデータがないため、複数のスクリーニング手法を用いるという。
HSBCアセットマネジメントのETF・インデキシング部門グローバルヘッドを務めるオルガ・デ・タピア氏は「このETFは、投資家が生物多様性や気候変動といった深刻な環境問題に取り組むポートフォリオを構築する手助けとなる」と述べた(*1)。
気候変動対策としては、「パリ協定」における「2℃目標」、「1.5℃目標」の実現にむけた取り組みが積極化している。生物多様性についても、12月にカナダで開催される生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、2030年までのあたらしい国際目標「ポスト2020生物多様性枠組み」が最終合意される見通しだ。さらに、23年9月には「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」のフレームワークも策定される。これらの動きにあわせ、生物多様性の分野に特化したETFや投資信託の開発が活発化すると予想する。
(#1)ブルームバーグ参照(22年8月)
【参照記事】*1 HSBC「HSBC Asset Management launches first biodiversity screened ETF」
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