日本を含む先進7カ国主要会議(G7)は10月13日、財務大臣・中央銀行総裁声明にて、中央銀行デジタル通貨(CBDC)およびデジタル決済に関する取りまとめを発表した。
公開された共通原則は、各国政府によるCBDCの発行が公共政策に与える影響について、透明性、法の支配、健全な経済ガバナンスなどの観点から、検討事項をリスト化したものだ。
声明では「CBDCは安全な決済資産、そして決済システムの要として機能することになる。」と記される一方、「いかなるCBDCも、中央銀行など既存金融の安定に害を与えるものであってはならず、プライバシー、透明性、ユーザーデータ保護などに関する厳格な基準を満たす必要がある。」と言及されている。
G7は、クロスボーダー決済を促進する意志を示しながらも「CBDCは、サイバーリスクや不正リスクに対して安全かつ強靱でなくてはならず、不正資金に関する懸念に対処し、エネルギー効率が良いものでなければならない。」としており、「決済の選択肢、包摂性、多様性を促進する、オープンで透明性のある競争的な環境で運営されなければならない。」と強調した。
G7は、CBDCが経済の競争環境を促進し、今後のデジタル経済におけるイノベーションを起こすきっかけになると考えているようだ。そのためには、CBDCが現金など従来の決済方法と共存・連携する必要があると定めており、国内外の決済の迅速化に向けた取り組みを強化している。
現在、G7加盟国でCBDCを発行している国は出てきていないが、各国の中央銀行はCBDCの導入を検討する意向を示している。日本銀行や英イングランド銀行はCBDCの実証実験を行っており、欧州中央銀行なども「デジタルユーロ」の実現に向け議論を進めている。
今後G7は、2027年までに、コスト、スピード、透明性、アクセスに関するグルーバルな目標を達成することを目標とし、中央銀行や民間企業と連携することで、クロスボーダー決済の相互運用の実現を目指していくとされている。
【参照記事】G7 finance leaders lay out guidelines for central bank digital currencies
株式会社techtec リサーチチーム
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