主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議にて、フェイスブックが計画する仮想通貨Libra(リブラ)のようなデジタル通貨に対して懸念を提起し、世界の金融システムを混乱させないよう厳しい規制が必要であると言及した。ロイター通信が7月18日に報じている。
G7の議長国を務めるフランスは、各国通貨をバスケットするLibraのような独自通貨の発行は、一企業が国家の特権とも言える通貨発行権を持つことと同義で、統制なしに発行することを受け入れることはできないと言及した。また、各国も、フェイスブックが擁する23億8,000万人のユーザーがリブラを受け入れることで、銀行や金融機関の方針に対する統制を弱めるだけでなく、セキュリティ上のリスクをもたらすと懸念している。こうした一方、欧州中央銀行の理事会メンバーであるBenoit Coeure氏は、Libraのような通貨は送金のコストやスピードを効率化し、ファイナンシャル・インクルージョンを促進する可能性についても言及した。
国境関係なく23億人ものユーザーが利用できるリブラは、その利便性の高さから法定通貨に縛られない新たな経済圏の誕生を予感させる。だが、G7が懸念するように、一企業が発行する通貨が金融政策を妨げないことはもちろん、マネロン対策・テロ資金供与対策、さらにはプライバシーの保護やセキュリティを確立することは一朝一夕にはいかないだろう。リブラが越えなければならないハードルは高く、今後も当局とフェイスブックの動きに注目が集まりそうだ。
【参照記事】G7 urges tough Libra regulation, agrees to tax digital giants
【参照記事】リブラ「最高水準の規制対応を」 G7で議長総括

立花 佑

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