主要国の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)は4月14日、ステーブルコインの規制を目的とした勧告事項の草案を公表した。勧告は、フェイスブックが主導する仮想通貨Libraなど、グローバルな性質を持つステーブルコイン(GSC)の一貫した、かつ効果的な規制の促進を目的としている。
ステーブルコインとは、米ドルなどの特定通貨、あるいは通貨バスケットの価値にペッグされ、価格が安定するように設計されたデジタル通貨を指す。国境を越えた取引に利用できる性質や、マネーロンダリングに悪用されるリスクのため、G20は2019年7月にFSBに対して、グローバルステーブルコイン(GSC)に起因する規制問題を洗い出し、多国間的な対応について助言するように求めていた。
この勧告は、「責任あるイノベーションをサポートし、各国当局に国内アプローチを設ける柔軟性を確保しながら、ペイメント、あるいはストアオブバリュー(価値の保存)としてのステーブルコインの国内、及び国際レベルでの利用に伴うリスクを軽減することを目指している」とFSBは述べている。
FSBは各国の規制当局に向けて、GSCの仕組みに確保させるべき10項目を指定している。要件には「データを管理・保護するための堅牢なシステムを備えること、説明責任を割り当てた包括的な統制枠組みを採ること、透明性のある情報を利用者に提供すること、AML / CFT対策に関するリスク管理フレームワークがあること」などが盛り込まれている。
FSBは勧告事項に対するパブリックコメントを2020年7月15日まで募っており、最終案は同10月に公表される。金融安定理事会(FSB)には、主要25か国・地域の中央銀行、金融監督当局、財務省、主要な基準策定主体、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)等の代表が参加している。これまで「ワイルドウェスト業界」とも揶揄されてきた暗号資産産業だが、世界の規制当局の足並みが揃う事でさらなる成長が見込めよう。
高橋奈夕
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