米ワイオミング州で可決されていた自律分散型組織(DAO)を法人と認める法案のもとに、最初のDAO法人が設立されたことが明らかとなった。7月4日に「American CryptoFed DAO」が登記を完了している。
米国でDAOが法人として認められる初めての事例が誕生した。DAOとは、特定の管理者が存在せずスマートコントラクトによる自動実行によって運営される次世代の組織だ。株式会社のアップデートとも言われており、DeFiなどの分散型サービスを運営する際に採用される組織形態となっている。
ワイオミング州では、2021年2月にDAOを法人として認める法案が提出されていた。4月に入って法案が可決されると、わずか3ヶ月で最初のDAO法人が承認される結果となっている。
DAO法案は、設立時に定義したスマートコントラクトに変更が生じる場合に、合わせて定款を変更する必要がある点が特徴だ。株式会社の場合、全ての事業活動は定款に従って行われるため、DAOも全てを制御するスマートコントラクトに変更が生じるのであれば、必然的に定款も変更すべきという考え方だろう。
DAOを法人化するという一連の動きは、先進的である一方で不確実な要素も多く、不正な解釈を生まないよう予めいくつかの考慮がされている。例えば、ワイオミング州が不適切だと判断したDAOに関しては、法的な保護の対象から外すことができるという。
今回最初のDAO法人が設立されたことについて、ワイオミング州のEdward Buchanan国務長官は次のようにコメントしている。
「ワイオミング州は、1977年にLLC(合同会社)が認められて以降、ビジネスとテクノロジーの最先端に位置していることが評価されてきました。DAOのイノベーションに対して法務を整備することにより、このポジションを維持できることに誇りを感じています。」
また、American CryptoFed DAOのCEOを務めるMarian Orr氏は、「やがて全てのガバナンストークン保有者が、経営陣の影響を受けずに組織を運営していくことになるだろう。CEOとしての私の役割は消滅するはずだ。」とコメントした。
株式会社techtec リサーチチーム
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