NBA Top Shotを運営するDapper Labsが、証券法違反の可能性があるとして起訴されていることが明らかとなった。背景には、NBA Top Shot内でNFTを売買したユーザーに対して、即時現金化させることをしなかった点もあげられている。
米プロバスケットボール協会(NBA)との提携により誕生したブロックチェーンゲームNBA Top Shotでは、選手のプレイ映像などをNFT化することで売買可能だ。このプレー映像はモーメントと呼ばれ、カードパッケージとして販売されている。
今回の訴訟では、このモーメントを売却して現金化する際に、即時取引が行われることをDapper Labsが阻止していたとのことだ。投資家が資金を引き出すのに数ヶ月の期間を設けることで、モーメントの価格が下がらないように設計しているという。
合わせて、モーメントが証券取引委員会(SEC)の定める有価証券に該当する可能性も指摘している。原告側は、「Framework for ‘Investment Contract’ Analysis of Digital Assets」と題したフレームワークを引き合いに出し、投資家の多くがモーメントへの投資に際して適切な評価を行うための技術的かつ財務的な知識にアクセスできなかったと主張した。
2020年末から2021年にかけて急激な盛り上がりを見せたNFT市場だが、ここ数ヶ月は下降の一途を辿っている。米暗号資産メディア大手The Blockは、4月2日にNFT市場のピークは既に過ぎ去っているとのデータを公開していた。
データによると、NFTの週間取引量は2月21日のピークを期に減少傾向が続いているという。また、取引量のうち64%はNBA Top Shotが占めていたとのことだ。NBA Top Shotの縮小に伴いNFT市場全体も縮小する結果となっている。
現時点では、世界各国でNFTに関する明確な法規制は整備されていない。日本でもNFTは暗号資産としては解釈されておらず、その取り扱いには不明確な部分が多くなっていた。
今回のDapper Labsへの訴訟は、NFTが証券法違反の可能性があるとする初めての訴訟事例になるという。訴訟の詳細はこれから始まっていくことになるが、結果次第では今後のNFT市場全体へ大きな影響を与えることになる。
【参照記事】NBA Top Shot User Sues Dapper Labs, Claims NFT ‘Moments’ Are Securities
株式会社techtec リサーチチーム
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