仏食品大手ダノン(ティッカーシンボル:BN)は1月17日、2030年までに生乳のサプライチェーン上で排出されるメタンの絶対排出量を30%削減することを目指すグローバル・アクションプランを発表した(*1)。
30年までに二酸化炭素(CO2)換算で120万トンのメタン排出を削減する。ダノンは18年から20年までにメタンの排出を約14%削減しており、野心的な目標を通じて取り組みを推進する。財務情報の開示と共にメタン排出量も報告する。今回の目標は、米欧の共同イニシアチブ「グローバル・メタン・プレッジ」の、30年までにメタンの排出を20年比で最低30%以上削減する目標に沿うものだ。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、メタンの排出量削減は、CO2の排出削減だけでは不十分な1.5℃の気候目標達成に向けて即座に効果をもたらすと指摘する(*1)。牛乳・乳製品は人為的なメタン排出量の8%を占めると推計され、農業・酪農は世界全体のメタン排出量の約40%を占める一大排出源になっている。
ダノンは目標達成に向け、酪農家と協働してリジェネラティブな酪農や革新的なソリューションの開発を試みる。また、競合他社や環境保護基金(EDF)などと連携し、イノベーション、レポーティング、先進的なファイナンスモデルの拡大を促す。政府と協働し、メタン政策、データ、レポーティング手法の改善を図るほか、研究のための資金拠出、リジェネラティブな酪農への移行を図る農家の支援も進める。
メタンの温室効果は同じ量のCO2の25倍になるため、世界各国がメタン排出削減に向けた取り組みを強化している。仏エネルギー大手のトタルエナジーズ(TTEF)は2022年5月、ドローンを活用したメタン排出検知・定量化する取り組みを開始した(*3)。ニュージーランド政府は2022年10月、牛や羊などの家畜のゲップから排出されるメタンの削減に向けて農家に課税する計画を発表している(*4)。世界初の取り組みとして25年までに導入する意向でだ。
【参照記事】*1 ダノン「Danone announces an ambitious plan to reduce its methane emissions」
【参照記事】*2 IPCC「The evidence is clear: the time for action is now. We can halve emissions by 2030.」
【関連記事】*3 仏トタルエナジーズ ドローンを活用したメタンの排出検知・定量化開始
【関連記事】*4 ニュージーランド、世界初となる家畜のゲップに課税へ。25年の導入目指す
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