企業などが独自の通貨やトークンを発行して資金を調達するICO(イニシャル・コイン・オファリング)は、新たな資金調達手段としてその可能性が高く注目されている。しかしその一方で、過剰な資金調達をしてしまうICOや開発が停滞するICO、なかには詐欺まがいのICOもある。
こうした状況をかねてから危惧していたイーサリアム共同開発者のVitalik Butelin氏は1月6日、イーサリアムのディスカッションフォーラム「Ethereum Research」でICOの複雑さとリスクを最小限に抑える新たな資金調達手段として「DAICO」を提唱した。
DAICOではまず「寄付モード」でイーサリアムの対価として開発チームが発行するトークンを購入する。この際、発行量の制限や取引方法をオークション形式にするか、KYC(顧客確認)ができた顧客に売るかなどをプロジェクトチームは自由に設定可能だ。寄付モード期間が終了するとトークン残高が設定され、トークンを利用した取引が可能となる。
寄付モードの終了後、開発チームが獲得した資金を引き出す資金額を決定する。この資金額はTAPと呼ばれ、その決定には開発チームとDAICOに参加したトークン所有者によって決まる仕組みだ。開発チームはTAPを下げる権利のみ、トークン所有者はTAPを上げる権利と契約を終了してイーサリアムを引き出せるようにする権利をあたえられる。
こうした特徴から開発チームは合理的な予算のなかでプロジェクトを進行することができ、投資者は仮に開発の進捗状況に不満があればDAICOを終了して資金を引き上げることが可能だ。
DAICOでは従来のICOが抱えるリスクを抑えることができる一方で、フォーラムではDAICOの仕組み自体が抱える問題についても言及されており、いまだに構想段階を抜けていないことも事実だ。同氏も「まだまだ成長段階」としている仮想通貨関連のマーケットでは、これからもこうした新しいアイディアや仕組みが生まれてくることが予想に難くない。
【参照記事】Explanation of DAICOs
【関連ページ】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法(ETH)
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