世界経済フォーラム(WEF)が、暗号資産規制を策定する際の3つの指針を提示した。暗号資産市場の急成長に規制当局が追いついておらず、目的に合わないルールを適用してしまっていると指摘している。
WEFによると、低所得国、中所得国、高所得国、それぞれで暗号資産が異なる様子で急速に普及しているという。一方で、各国の当局は、暗号資産の普及によって生じる問題に対処できていないとのことだ。次の3つの指針を軸に、当局は目的に合ったルールを整備すべきと主張している。
- 暗号資産の普及を加速させる原動力を受け入れる
- 暗号資産の技術的な意義と多くのユースケースを理解する
- 包括的なグローバルガバナンスの実現
暗号資産の普及を加速させる原動力を受け入れる
ほとんどの中央銀行や財務省は、暗号資産をリスクベースで評価し、封じ込めるための政策を取ってきたという。にも関わらず、2019年に2,300%以上、2020年に881%もの成長が記録されているとのことだ。
送金コストの削減や金融包摂の実現など、人々は暗号資産の普及を必要としているとし、当局はこの原動力を受け入れる姿勢に転換すべきとの見解を示している。
暗号資産の技術的な意義と多くのユースケースを理解する
初期のインターネットと同様、暗号資産には多くの可能性が秘められている。WEFは、既存規制でこのイノベーションに対応することは不適切だと指摘し、技術的な意義や現在出てきているユースケースを理解すべきと述べた。
また、DeFiやNFTを例にあげ、それらの抱える課題やリスクを正確に把握するために、中央集権型サービスと非中央集権型サービスとを分けて考えてる必要があることも指摘している。なお、暗号資産を利用した不正行為は、暗号資産取引全体のわずか0.34%に過ぎないとのことだ。
包括的なグローバルガバナンスの実現
今日、国家間で生じる違いによって、市場には不確実性が生まれているという。グローバルな調和を阻害する要因として、包括的な政策プラットフォームが欠如していることを指摘した。
国際的な金融規制を取り締まるFATFについても、ラテンアメリカやカリブ諸国といった途上国が基準設定団体に参画できていないとし、現在の金融規制は不平等であると主張している。暗号資産に国境は存在せず、そのような性質が世界的な人気を獲得する大きな要因となっているとした。
【参照記事】How to meet the crypto regulatory challenge | World Economic Forum
株式会社techtec リサーチチーム
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