ホームエネルギー技術を開発するConnectDERは12月3日、シリーズD(資金調達ラウンド)で3,500万ドル(約52億円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、北米で手頃な価格の住宅電化ソリューションの拡充を図る。
今回の投資ラウンドは、米運用会社大手ブラックロックとシンガポールの政府系投資会社テマセクが設立したデカーボニゼーション・パートナーズ(Decarbonization Partners)が主導した。マスミューチュアル・ベンチャーズも新規投資家として参加している。
ConnectDERは、調達した資金を活用して市場拡大、製造規模の拡大、持続的な製品開発を図る。同社では25,000個以上のメーターソケットアダプター(ConnectDER SolarおよびConnectDER EV)が稼働中で、多くの州で使用が承認されていることから、今後数年のうちに全米での販売開始を予定している。
ConnectDERは2011年に設立され、各家庭が電力網と接続したまま、住宅の電気システムのアップグレードを必要とせずにソーラーパネルや電気自動車(EV)の充電器を設置できる技術を提供している。同社の技術を活用することで、太陽光発電で蓄電した電力を使い切った後でも、電力網から電力を供給できる。
米国では6,000万世帯が高額な設備のアップグレードなしには、太陽光発電、EV充電、または強靭なエネルギーソリューションを活用できない状況にある。ConnectDERの製品は数分で設置でき、家庭のサービスパネルや送電網の相互接続を行うためのアップグレード費用も10%以下で済むため、導入の大きな障壁を取り除ける。
ConnectDERにとっては、次世代メーターソケットアダプター(MSA)「IslandDER」を発表するにあたり、今回の資金調達が重要なマイルストーンとなる。IslandDERは、電力網とシームレスに統合するように設計されている。太陽光発電、バッテリー貯蔵、EV、その他の分散型エネルギー資源を系統から独立した状態(アイランドモード)で使用し、住宅全体のバックアップ電源およびレジリエンスを提供する。
IslandDERのような革新的な技術やソーラー機器を活用することで、一般家庭にとっては設置期間を合理化し、複雑性を軽減し、信頼性が高く手頃な価格の再生可能エネルギーソリューションを利用できる。
ConnectDERのイヴォ・ステクラック最高経営責任者(CEO)は「当社が間もなく発売するIslandDERは、住宅を電力網から切り離したり再接続したりすることを可能にし、顧客は太陽エネルギーとバッテリーシステム、あるいはEVから貯蔵したエネルギーを利用できるようになる。これにより、革新的なバックアップ電源とレジリエンスを、非常に競争力のある価格で提供することが可能になる」と述べた(*1)。
【参照記事】*1 ConnectDER「ConnectDER Secures Series D Funding to Accelerate Growth and Deliver Transformational Resiliency and Electrification Solutions across North American homes」
フォルトゥナ
【業務窓口】
fortuna.rep2@gmail.com
最新記事 by フォルトゥナ (全て見る)
- 持続可能な燃料製造スタートアップElyse Energy、190億円調達。eメタノールやSAFの製造加速 - 2024年12月23日
- BNPパリバAM、新たに低炭素移行インフラ株式ファンド立ち上げ。クリーンエネルギーや持続可能なモビリティなどに投資 - 2024年12月23日
- メタ、AI向け電力需要増に原子力発電に注力。AIイノベーションとサステナ目標達成の両立目指す - 2024年12月23日
- Holtara、25年1月の適用開始前にCSRD対応支援の新プラットフォーム立ち上げ。ESGデータレイク機能など搭載 - 2024年12月23日
- CBRE、新たな気候変動移行戦略を公表。資源効率の最大化や電化など4つの道筋 - 2024年12月20日