循環型社会に向けた不要品の回収・再流通のインフラを構築する株式会社ECOMMITは、サステナビリティ消費の動向調査を2023年12月から2024年1月にかけてインターネットにて実施。その結果を発表した。
今回の調査はECOMMITが運営する資源循環サービス「PASSTO(パスト)」が展開するイオンモール佐賀大和店の衣類回収ボックス利用ユーザーに対して行い、回答数は155件だった。
アンケート調査の結果、衣類回収ボックス利用ユーザーの73%が40〜60代の女性であることが判明。年間の衣服購入枚数の平均は約10枚で、手放す服は約21枚。一般の生活者と比べると、購入枚数は8枚少なく、手放す服は6枚多いことが分かった。
また、衣服を手放す手段として「廃棄」は25%に留まり、75%がリユースや資源回収を活用していると回答。一方で、衣服の入手手段には80%が「新品で購入する」を選択した。
衣類回収ボックスの利用動機には、61%が「環境に貢献できると思ったから」と回答。「次の人につなげるというコンセプトに共感」が40%、「ポイントがもらえるから」が39%と続いた。
また、43%が衣類回収ボックスの利用を目的として設置店舗へ来館していることも分かった。
衣類回収ボックス利用後の意識変化としては「捨てる以外の選択肢を考えるようになった」「無駄に買わないようにするようになった」というコメントが多く見られた。
本調査を実施したECOMMITの取締役CSO・ESG推進室長の坂野晶氏は以下のように話した。
「今回の調査は、限定された地域での実施且つ回答者属性が40~60代の女性が中心であるという前提ではありますが、20代以下のZ世代がサステナブルな行動に積極的であるという元来のイメージとは違い、40代以上の環境貢献意識が高いことが明確になりました。 しかし、衣類の購買行動については新品を好む傾向にあり、リユース品などの購買においては未だ一定のハードルがあると考えられます。 そのような中で、衣類回収ボックスの利用を通じて、ものを無駄に買わないことを意識するようになったという行動変容の効果が結果に出ていることは大きな希望であり、サステナビリティへの施策に対する可能性を感じることができます」
衣類回収ボックスの設置は利用者に意識変容・行動変容をうながせるだけでなく、店舗や小売業にとっても商機になりうる可能性がある。たとえば衣類回収ボックスに加えて、小型家電や使用済み食用油、調理器具、充電池など店舗が資源の回収拠点となれば、回収ボックスの利用を目的とする来店も増えて購買機会も増えるだろう。
また、回収ボックスの利用者が増えれば増えるほどサステナブルな意識変容や行動変容が起こり、その店舗や運営企業が掲げるビジョンやパーパスへの共感も得やすくなる。衣類回収ボックス設置の取り組みは、生活者のニーズに応えるだけでなく、サステナビリティを推進する企業としてのブランド価値を向上させ、店舗や小売業の長期的な成長にも繋がる可能性があるのではないだろうか。
【関連サイト】ECOMMIT | 地球にコミットする循環商社
岡村 幸治
Twitter:@koji__O
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