日本銀行の黒田東彦総裁が、価格変動が激しいビットコインの決済機能について疑問視するコメントを発した。5月28日にBloombergが報じている。黒田総裁は、ビットコインをはじめとする暗号資産について次のようにコメントした。
「取引の大部分が投資あるいは投機を目的としたものであり、昨今は価格変動が極めて激しいものとなっている。裏付け資産を持っていないため値動きが激しく、基本的に決済手段としてはほとんど利用されていない状況だ。」
暗号資産については、黒田総裁に限らず各国の中央銀行総裁から疑問視する声が上がっていた。Bloombergによると、米連邦準備制度理事会(FRB)議長のJerome Powell氏は、暗号資産を単なる投機先でしかないと指摘しているという。また欧州中央銀行(ECB)のLuis de Guindos副総裁やイングランド銀行のAndrew Bailey総裁も、「全ての資産を失う覚悟があるのであれば購入するといい」などと発言している。
各国中央銀行の首脳陣が暗号資産に対して否定的な見解を示していることから、日本の中央銀行総裁として足並みを揃えたのだろうとの見方も出ている。
ビットコインなどの暗号資産については否定的な意見を述べたものの、裏付け資産のあるステーブルコインについては「性格が違うもの」として肯定的な意見を示している。黒田総裁はステーブルコインについて、法的な確実性や健全なガバナンスなど多くの対応課題が残されているものの、将来的には便利な決済手段になり得ると言及した。
黒田総裁は13日に開催された財政金融委員会でもステーブルコインについて言及していた。その際は、法的な確実性と健全なガバナンス体制に加えてオペレーションの頑強性とサイバーセキュリティをテーマにあげている。
ステーブルコインについては、現在各国で調査及び開発が進められている中央銀行デジタル通貨(CBDC)の競合になるのではとの意見も散見されるようになってきた。CBDCの旗振り役である中央銀行総裁がステーブルコインについて肯定的な意見を述べたという事実は、非常に明るい材料として報じられている。
【参照記事】日銀の黒田総裁もビットコインを疑問視「裏付け資産を持っていない」
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