国際決済銀行がDeFiレポートを作成、DeFi分散化に否定的な見解示す

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国際決済銀行(BIS)は12月6日、DeFiに関する最新の四半期分析レポートを公開した。レポートの中で「DeFiの脆弱性はこれまでの金融システムをさらに上回るものだ」と警戒し、否定的な見解を示した。

DeFiはブロックチェーン技術を活用することで、中央管理者不在の状態で行われる金融サービスだ。これまでの銀行や取引所などの仲介業者を、自動化されたスマートコントラクトへと置き換えることで、金融取引の効率性を高めることが期待されている。

今回焦点が当たったのは、DeFiの中央管理者不在システムをどのように規制できるかについてだ。BIS研究責任者のHyon Song Shin氏は「自動化された取引だけを基盤として金融システム全体を運用するのは限界がある」と述べている。

BISによると、DeFiのエコシステムにおける重要な要素としては「暗号資産の取引などを支えるブロックチェーン上の自動化プロトコル」と「資金移動を促進するステーブルコイン」が挙げられており、DeFiのガバナンスの必要性から、ある程度の中央集権化が避けられず「分散化の幻想」が起きるとしている。

さらに、DeFiが広く普及した場合、その脆弱性が金融の安定性を損なう可能性があることも示唆している。このような脆弱性は、高レバレッジ、流動性のミスマッチ、システムの相互接続性、銀行などのショックアブソーバー(ショックを吸収する機関)の欠如などにより、深刻になる可能性がある、と見解を示した。

DeFiの既存のガバナンスメカニズムは、規制当局が「金融安定性、投資家保護、違法行為」などに関連する問題に対処する際の介入点になるとされている。

レポートの中で、DeFiが広く安全に使われる金融仲介形態になるための条件として、以下のようなものを挙げている。

  • ブロックチェーンのスケーラビリティ(適応性)の改善
  • 従来の証券の大規模なトークン化への対応
  • DeFi自体の適切な規制
  • 公的機関とDeFi内のガバナンス構造の連携
  • 十分な金融安定性の確保

BISは「DeFiは、今後金融システムにおいて重要な役割を果たす可能性があるからこそ、適切な規制によって安全性と信頼性を高めることが最も重要だ」と説明している。

【参照記事】DeFi risks and the decentralisation illusion

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株式会社techtec リサーチチーム

「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec