「仮想通貨との競合リスクを警戒」バンク・オブ・アメリカが年次報告書で明かす

※ このページには広告・PRが含まれています

仮想通貨は大手銀行にとっても脅威となるのだろうか。アメリカで2番目の規模を誇る銀行バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)が米国証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書の中で、仮想通貨が自社事業に重大な影響を及ぼす可能性があると警戒心を示している。

注目すべきは、仮想通貨ビジネスが銀行の事業と競合するリスクがあることを認めている点だ。仮想通貨はリスクの高い市場だが、それでも人々から支持を得る可能性がある。「クライアントは、仮想通貨のように危険性をはらんだ事業や製品を展開する市場参加者とビジネスを行うことを選ぶかもしれない」と危惧し、「私たちは非常に競争が激しい環境で事業を行っている」と自社を取り巻く状況を説明している。

報告書では、仮想通貨が同社に与えうるリスクをまた違った角度からも分析している。それは、仮想通貨のように匿名性の高い通貨が流通すると資金の流れを追いにくくなるという点だ。こうした仮想通貨の特徴に対して、マネーロンダリング対策(AML)や顧客確認(KYC)の徹底など、犯罪防止のために金融機関に課せられる責務は多い。

仮想通貨のような新技術が誕生したばかりのフェーズでは、当局からもとめられるこれらの対策を即座に対応して完璧に実施することが難しいという側面がある。だが、仮想通貨の普及に合わせて、こうした責務を遂行するために銀行は改変を余儀なくされるかもしれない。同報告書では「私たちの既存の製品やサービスを変更したり適応させたりするために、多大なコストがかかる可能性がある」と支出面での懸念も報告している。

同社が書面で仮想通貨に関するリスクを警戒したのは今回が初めてだ。もっとも行動で見ると、同社が仮想通貨を警戒している様子は以前からあった。先月の始め頃には、同社を含むアメリカの数多くの銀行がクレジットカードを使った仮想通貨の購入を禁じた。この決断の背景にはAMLや顧客が支払い能力以上の仮想通貨を購入することへの懸念もあったが、成長する仮想通貨ビジネスが銀行業務と競合する可能性も視野に入っていたと思われる。

【参照サイト】ANNUAL REPORT
【参照サイト】Bank of America Now Considers Crypto a Business Risk
【関連記事】米大手銀行に続き、英ロイズ銀行も仮想通貨のクレジットカード購入を禁止
【関連記事】英ヴァージン・マネーもロイズ銀行に続き仮想通貨のクレジットカード購入を禁止

The following two tabs change content below.

木村つぐみ

海外ビジネス情報の翻訳、ライティングを幅広く手掛けており、HEDGE GUIDEでは暗号通貨・仮想通貨関連記事を担当しています。暗号通貨・仮想通貨の特に興味深い点は、貨幣の持つ共同幻想性を明るみに出したことだと思っています。初心者の方にも分かりやすい説明を心掛けていきます。