大手ベンチャーキャピタルAndreessen Horowitz(a16z)が、自社保有のトークンを対象にしたデリゲーション(委任)プログラムを解説するブログを、8月26日に公開した。すでに対象となっているトークンのデリゲート先やその比率も併せて紹介している。
トークンのデリゲートとは、保有者がプロトコルのガバナンス権を他人に移譲するプロセスを意味する。a16zによると、本質的には、ガバナンスのプロセスにおいて重要な発言権を持つステークホルダーを増やすことにあるという。このプロセスが効果的に行われることで、長期的に質の高いガバナンス体制を構築することが可能だ。
a16zはこれまでに、CompoundやUniswap、Celoといったプロトコルにおける議決権の半分以上を外部へデリゲートしてきたという。デリゲート先には、KivaやMercy Corpsのような非営利団体、GauntletやArgent、Dharmaのような業界特化のスタートアップ、Stanford Blockchain ClubやBlockchain at Columbiaのような大学組織などがあげられた。
a16zは、トークンをデリゲートする上でのベストプラクティスが見えてきたと主張。次の5つを重視することが必要だと説明した。
- 早期にデリゲートする
- コミュニティリーダーを選出する
- 外部からの意見を取り入れる
- デリゲーターの独立性を保証する
- 継続的な透明性を提供する
また、デリゲーターを評価するための基準も次のように公開した。
- プロトコルへのコミットメント(Commitment)
- 領域への専門性(Expertise)
- エンゲージメント実績(History)
- 問題を起こさない(Absence of Conflict)
- プロトコルの成功に向けた活動(Alignment)
- a16zからの独立性(Arm’s Length)
- 分散化を促進(Decentralization)
- 多様な視点(Diversity)
- 責任を意識(Stewardship)
上記の基準を満たした候補者とは、実際にデリゲートする場合に契約書を交わすという。契約内容には、「デリゲートするトークンの量(ガバナンスに参加するための十分な量)」「報酬(必要最小限の報酬:月額500ドル以下、ガバナンスに参加するためのガス代負担などを含む)」「任期(最低6ヶ月間)と更新」などが定義されているようだ。
a16zはブログの最後に、CompoundとUniswapで実際に行なっているデリゲートの内容を公開した。割合としては、いずれも大学組織へのデリゲートが最も多くを占め、次いで業界特化のスタートアップとなっている。
【参照記事】Open Sourcing Our Token Delegate Program
株式会社techtec リサーチチーム
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