【暗号資産取引所の元トレーダーが解説】移動平均線乖離率を活かしたトレード手法

今回は、移動平均乖離率からトレードを行う手法について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 移動平均線とは
  2. 移動平均乖離率とは
  3. 移動平均乖離率を利用したトレード手法
  4. エントリーの方法と注意点
  5. 移動平均乖離率とボリンジャーバンドの併用もあり

暗号資産のマーケットは値動きが大きくいつのタイミングでエントリーすれば良いのかわからないという方も多いと思います。

投資の世界では「死んだふりが一番勝てる」と言われるように、投資したことも忘れて放置している方が儲かるという事例もあります。裏を返せば、逆方向に推移していた場合は大きく損失を被っていたことになります。

それでは淡々とエントリーしながら利益を出すにはどのようなトレードが良いでしょうか。ここでは保守的に利益を出しやすいトレード手法の一つとして、「移動平均乖離率からトレードを行う手法」についてご紹介したいと思います。

これは逆張りという投資方法のため、中上級者向けとなることにご注意ください。

①移動平均線とは

移動平均線は、テクニカル分析でほとんどの投資家が知らない人はいないほど重宝されるテクニカル指標です。

ある一定期間の価格から平均値を算出し、1本のラインで示したものです。 その日を含めた過去数日間の平均値を毎日計算するため、平均線が推移していくことになります。日数は自身で設定することになり、時間足で使用する場合もあります。

どの期間の移動平均線を利用するのかで、トレードスパンの見方が異なります。個人的なおすすめは62日と200日の指数平滑移動平均線です。これはとても利用しやすく、筆者も愛用している指標です。

②移動平均乖離率とは

次に移動平均乖離率について説明します。移動平均乖離率とは設定した移動平均線からローソク足の価格がどの程度乖離しているのか(離れているのか)を示したものです。

移動平均線は先ほど示した通り過去数日間の平均線です。つまり移動平均線からあまりにもかけ離れた値動きになると、一旦は移動平均線に収斂する動きになる可能性があります。

その収斂する動きを取りに行くということが、今回紹介する手法です。とても手法は単純ですが、難しさや注意点もあるので併せて説明していきたいと思います。

③移動平均乖離率を利用したトレード手法

まず最初に移動平均線を表示しましょう。例として62日単純移動平均線を利用してみたいと思います。

暗号資産は、急騰したり急落したりしながら、少し落ち着く時間帯があり、再度急騰や急落を繰り返す、といった動きが他の投資商品と比べて多い傾向があります。

この理由としては「流動性が薄い」ということがあります。流動性とは言い換えると「取引高」のことです。取引板に注文が少ない状態で大口注文が入ると、価格に及ぼす影響が大きくなるため相場が急変します。

そのため急騰・急落すると当然移動平均線からの乖離幅は大きくなります。その乖離幅をパーセントでチェックし、「○%乖離したら一旦止まりやすい」という傾向をチェックしましょう。

ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を一つ一つじっくりみていくことが重要です。また1時間足、4時間足、日足等と時間軸を分けてチェックすることが大切です。この作業を行なっていくことでなんとなく法則や規則性が見えてくるかもしれません。

このように法則を見出すことがとても大切であり重要な事です。「ビットコインの4時間足なら○%」、「イーサリアムの日足なら○%」という具合に分けて、メモをしておくと良いでしょう。

④エントリーの方法と注意点

次にエントリー方法と注意点について説明します。

仮に「ビットコインの4時間足が移動平均線から10%乖離したら止まりやすい」ことを見つけたとしましょう。あなたは運用資産として100万円を保有した状態で、エントリーチャンスを待っています。そして相場が動き、ビットコインが移動平均線から10%離れました。「さぁ、100万円分エントリーするぞ」と思うでしょう。

しかし、これは絶対にNGです。その理由としては2つあります。

  1. この手法は逆張りであり、乖離率が10%で勝率は良くても、それ以上に乖離する可能性があるため
  2. 暗号資産トレードで大事なことは「エントリーを分散させること」のため

まず1について。逆張りの怖いところは「どこまで相場が進行するかわからない」ということです。つまり10%でエントリーしたとしても、そこから30%以上乖離し続ける可能性も残されています。そのため、損切りラインを決めておく必要がありますが、その判断が難しいからこそ中上級者向けの戦略となっています。

次に2のエントリーを分散させる点について。エントリーを分散させるということは、資産を分割して利用するということです。これは今回のトレード手法に限った話ではありません。

100万円を保有しており、最初のタイミングで100万円全てを投下した場合、購入時のレートから上に行くか下に行くかで勝敗が決まります。しかし、トレードは時間分散という概念も重要であり、10万円ずつ10回に分けて購入することも大切です。

相場はどのタイミングで反転するかわかりません。もちろんエントリーした瞬間から思った方向に動けば問題ないですが、そんなことは万に一つの可能性もないでしょう。

だからこそ相場が動くタイミングがわからない分、その時間のリスクをコントロールする必要があります。それはつまり、自分自身のメンタルコントロールにもつながります。

トレードの一番大切なことはメンタルコントロールです。心理的な負荷がかかった状態で行ったとしても負けることは必然であり、冷静なトレード判断ができません。そのためにもエントリーを分散させつつ、相場の動向をゆっくりチェックしながら冷静にポジションを追加していくことをおすすめします。

この手法の注意点を次に説明します。この手法での注意点は逆張りであり、必ず損切りラインは設定した上で最初のエントリーを行う必要があるでしょう。特に初心者の間は順張りでのトレードが一番大切なことなので、投資初心者が最初からこの手法に挑戦することはNGです。慣れてきた段階でコントロールできるようになった場合に行ってみるようにしましょう。

⑤移動平均乖離率とボリンジャーバンドの併用もあり

移動平均乖離率と併せて利用しやすいテクニカル指標として、ボリンジャーバンドがあります。ボリンジャーバンドは標準偏差を利用して、統計学的に価格がどの範囲内に何%の確率で収まるのかをラインにしているものです。

【暗号資産取引所の元トレーダーが解説】テクニカル指標:ボリンジャーバンド


ボリンジャーが3σを超えて推移しており、移動平均乖離率の分析した数値と合致したらエントリーするなど、色々と条件を組み合わせてトレード手法を考えてみるのも良いでしょう。

通貨ペアによってもこの乖離率の目安は異なるため、是非一度色々とチェックしながら自分にあった通貨ペアを見つけてもらうと良いと思います。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12