トレード初心者にとって最初にぶつかる壁の一つが「取引手法」だと思います。本を開けば様々な取引手法が記載されており、一体どれを選ぶべきかわからなくなることもあると思います。まずは「どの取引手法が自分に合っているのか?」という視点から、一つずつ試してみると良いでしょう。
今回ご紹介するテクニカル指標は「ボリンジャーバンド」です。ボリンジャーバンドは移動平均線と上下の線で表し、トレンドの勢いや変化の目安、そして相場の状態を見るための指標とされています。暗号資産FXでもこのボリンジャーバンドは重宝できるタイミングがあります。この記事では、ボリンジャーバンドの使い方を解説します。
目次
- ボリンジャーバンドとは?
- ボリンジャーバンドの特徴
- ボリンジャーバンドは3つのパターンで推移する
3-1.スクイーズ
3-2.エクスパンション
3-3.バンドウォーク - ボリンジャーバンドの分析方法
4-1.20日移動平均線での分析
4-2.ボージ - ボリンジャーバンドでの売買ポイントの見つけ方
5-1.ボリンジャーバンドのトレード手法:逆張り
5-2.ボリンジャーバンドのトレード手法:順張り - ボリンジャーバンドの注意点
- まとめ
① ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドは1980年ころにファンドマネージャーのジョン・ボリンジャー(John Bollinger)氏が考案したインジケーターです。統計学で利用される「標準偏差」をバンド(帯)で示しており、移動平均線とその上下に置かれた価格変動幅を示す標準偏差のラインをワンセットとしています。
ボリンジャーバンドはリスク範囲を示し、標準偏差ラインは1つのみならず、2つ、3つと引くこともできます。3つの標準偏差ラインを引く場合、中心線である移動平均線に近い方から1次標準偏差、2次標準偏差、3次標準偏差と言います。
ボリンジャーバンドは、価格がバンド幅で推移するという原則に基づいています。標準偏差ラインの中で価格が移動する確率は以下の通りです。
- 1次標準偏差、1σ=約68.3%
- 2次標準偏差、2σ=約95.5%
- 3次標準偏差、3σ=約99.7%
ボリンジャーバンドは、トレンド相場では標準偏差ラインの幅は広がり、レンジ相場では狭まります。ボリンジャーバンドの実際の例は下記のように表示されます。
ボリンジャーバンドは3つの要素で構成され、チャートツールで各項目の調節は可能です。デフォルトとしては下記の数字が利用されています。
- 20日移動平均線
- 標準偏差
- バンド帯
標準偏差は20日間の値動きを表し、ボラリティを示します。20日間の値動きが大きければバンド幅は広くなり、逆に値動きが小さければバンド帯の幅は狭くなります。
バンド帯は、標準偏差の帯の下限から上限までの幅です。バンド上限は+2σの位置であり、バンド下限は-2σの位置です。このために、バンド帯の下限から上限までの幅は、標準偏差の4倍となります。
②ボリンジャーバンドの特徴
標準偏差の帯から出て価格が移行するときは、売られすぎと買われすぎのシグナルとみなすことができます。
上昇トレンドにおいて、一定の水準まで価格が到達すると、利食い売りのフローが入るためバンドの拡大は収まりつつ、上昇圧力が低下します。その後トレンドは徐々に弱くなり、ボリンジャーバンドは収縮します。
買われすぎや売られすぎの判断に利用できるオシレーター系のテクニカル指標であるRSIと組み合わせると、よりエントリーや決済のポイントを見つけやすいです。
RSIは70%以上で買われすぎ、30%以下では売られすぎです。
③ボリンジャーバンドは3つのパターンで推移する
ボリンジャーバンドは、スクイーズ、エクスパンション、ハンドウォークという3つの動きで推移するので、基本としてこれらのパターンを覚えておきましょう。
スクイーズ
スクイーズは、英語で「押しつぶす」という意味です。ボリンジャーバンドだと標準偏差の帯が狭まり、押しつぶされたような状態になります。
スクイーズになると値動きが小さくなり、トレードは難しい判断を要求されます。スクイーズの期間が長いほど、トレンド発生のエネルギーが高まります。
エクスパンション
標準偏差の帯が広がることをエクスパンションと言い、スクイーズが発生した次の段階でよく見られる形状です。
トレンドが一気に動くので、エントリーポイントを見つけやすくなります。±両方の標準偏差ラインが開いた状態がエクスパンションであり、どちらか片方のラインが開いている状態ではエクスパンションとは言いません。
バンドウォーク
エクスパンションで開いた帯の中で、上下どちらかに価格が動いていく状態です。エクスパンションでは価格は上がるか下がるかはっきりしませんが、バンドウォークでは価格は上がるか下がるかどちらかに移行してトレンドを形成します。
トレンドが発生しているため、エントリーしやすい相場です。
エクスパンションが発生せずとも、価格が標準偏差のライン上を一方向に動く場合もバンドウォークと言います。バンドウォークは、価格が一方向に動いている状態と覚えておきましょう。
④ボリンジャーバンドの分析方法
20日移動平均線での分析
移動平均線はトレンドを視覚的にわかりやすく示しています。価格が下から上に移動平均線と交わればゴールデンクロス、価格が上から下に移動平均線と交わればデッドクロスです。これは買いのサインや売りのサインとして代表的なものでしょう。
一定期間の中のローソク足のほとんどが、20日移動平均線のどの水準で推移しているのかチェックすれば、以下のようにトレンドを読み取れます。
- 上昇トレンド : ローソク足が20日移動平均線の上で推移
- 下降トレンド : ローソク足が20日移動平均線の下で推移
上記からチャートは上昇トレンドを形成しているのか、下降トレンドを形成しているのか判断できます。トレンドが発生すれば、トレンドが終了するのはゴールデンクロスかデッドクロスになるときです。
ボージ
ボリンジャーバンドのバンド幅が最も広がるところをボージと言います。最も値動きが激しくなった場所とも言えるでしょう。バンド幅は、トレンド発生によってエクスパンションが起こり広がっていき、ボージで最大幅になり、トレンド終了と共に幅が縮まります。ボージが発生したところは、トレンドの終了を表します。
ボージが発生してバンド帯が縮まるときは、多くの場合にトレンドと反対方向の標準偏差が先に収縮します。つまり、トレンドと反対の標準偏差、次にトレンド方向の標準偏差の順で動くということです。
この動きを覚えておくと、ボリンジャーバンドを利用したトレードで役立つことでしょう。
⑤ ボリンジャーバンドでの売買ポイントの見つけ方
ボリンジャーバンドのトレード手法:逆張り
一般的にボリンジャーバンドは標準偏差から大幅に乖離した際に、収斂を利用してトレードするものです。そのため逆張りで利用するトレーダーが多いことで知られています。
±1(1次標準偏差)~±3σ(3次標準偏差)を抵抗線と考え、価格が-1σ~-3σに来たときが「買い」、+1σ~+3σに来たときが「売り」ポイントとする取引方法です。まずはこの取引手法をご紹介したいと思います。
下記はBTCJPYの日足チャートです。
青色の丸印がエントリーポイントで、紫の丸印が利益確定のポイントとしています。このように見ると2αを突破して上昇した後、必ずバンド内に戻ってきています。利益確定の位置を1αに設定すれば、無理のないトレードができます。
価格が高騰し続けた場合、1αがエントリー時と同じラインまで上昇してしまうことがあります。しかし、1αにタッチしたら利益が出ていなくても損が出ていたとしても必ずポジションは清算するようにしましょう。
ボリンジャーバンドのトレード手法:順張り
順張りをするならば、トレンドの発生地点を見つけます。±2σ(2次標準偏差)~±3σ(3次標準偏差)を超えて価格が移行すれば、トレンドに沿ってエントリーします。-2σ~-3σに来たときが売り、+2σ~+3σに来たときが買いポイントという格好です。
順張りはトレンドが出た時には利益を大きく伸ばすことができるため、大きなリターンを得る可能性もある手法です。トレンドが出ているのであれば、そのトレンドの方向にポジションを取る方が安全と言えます。
それでは、トレンドの見分け方と、トレードへの活かし方を解説したいと思います。
まず最初にチェックするのは青色の丸印の位置です。ボリンジャーバンドは値幅が拡大した時にバンド幅が両サイドに拡大する特徴があります。こうしたバンドが収斂した後に大きく拡大する動きが、トレンド発生時の目安となります。
上図では、丸印からバンドが拡大している点と−2αを突破して下ヒゲをつけている点の2つを確認してからトレンドが出たと判断できます。しかし、ここではポジションをとらずに、−1αまでタッチするのを待つことにします。
次に、価格が−1αにタッチした黄色の最初の丸印でショートポジションでエントリーします。その後は基本的に「−1αと−2αの間で価格が推移する」というセオリーに基づいてトレードします。下落と回復を繰り返す中で、−1αにタッチする毎にポジションを増やしつつ、下落トレンドが終わるのを待つことになります。
「下落トレンドが終わる」タイミングをどのように判断するかという問題は、「中心線を逆方向に突破したらポジションをクローズする」というルールを設けることで解決できます。2つ目の黄色の丸印をご覧いただくと、陽線が連続で出ながら中心線を上方向に突破しているため、このタイミングでポジションをクローズすることになります。
以上のように取引ルールはとてもシンプルですが、これだけでも相当な値幅を取れることがチャートからご理解頂けると思います。
⑥ボリンジャーバンドの注意点
基本は標準偏差の帯の中で価格は推移すると予想しますが、必ず標準偏差の帯におさまると考えるのは危険です。過去のデータを元に一定期間の移動平均線を元に未来の相場を予想しており、予想が外れることもあります。一定のレンジ相場で動いている中では、標準偏差の帯の上端近くを売りサイン、標準偏差の帯の下端近くを買いサインとして、順張りで利用する方が多いです。
価格がレンジ相場から出たときは、標準偏差の帯の上端近くを買いサイン、標準偏差の帯の下端近くを売りサインとして、逆張りで利用します。相場の動きによって、順張りと逆張りのポイントが違うことは覚えておきましょう。
⑦まとめ
ボリンジャーバンドは、テクニカル指標の中でも有名で基本となる指標です。順張りや逆張りの指標になるのみならず、トレンドを把握してエントリーや決済ポイントを判断するのにも使えます。
筆者としては暗号資産FXの初心者の場合逆張りは控えて、順張りでのトレード時に利用する方が賢明と考えています。筆者自身もトレンドフォロー時でしか利用しないようにしており、負けないトレードをするためにはどうすればいいのかという視点でトレード手法を考えるようにしましょう。
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中島 翔
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