【元トレーダーが暗号資産FXを解説】下落相場でエントリーする方法

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証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. 相場の基本的な特徴
  2. エントリーポイントの見分け方と利益確定のタイミング
    2-1. 出来高
    2-2. 抵抗線と支持線のブレイク
  3. 相場の天井の見分け方とエントリーポイント
  4. 下落相場で利益を出すことがFXの利点

暗号資産のマーケットはDeFiを中心に盛り上がりを見せています。2020年3月に発生したコロナショックから資産運用のニーズが高まっており、特に若い世代でその動きが顕著に出ています。

しかし、相場が常に上昇し続けるとはかぎりません。上下の動きを繰り返しながら、トレンドが形成されていきます。一方、多くの人々が強気感情に包まれている時は注意が必要です。利益確定を行わずにいるうちに価格があっという間に下落して、損失を被る事態に陥る場合もあります。

そこで、ここでは利益確定をいつすればいいのか?相場はどこで反転するのか?等といった相場の転換期の掴み方、及び下落相場でエントリーする方法について解説したいと思います。

①相場の基本的な特徴

初心者の場合、トレンドに沿ってエントリーすることが基本です。そのため、トレンドをしっかりと把握することが大切になります。

トレンドはチャートの時間足によって違った景色が現れます。大きな時間足では上昇トレンドであっても、小さな時間軸を見ると上昇と下降トレンドを繰り返しながらトレンドが形成されるものです。具体例として、以下の画像をご覧下さい。

GMO coin 1赤色の大きな○印は中期的な上昇トレンドを囲んでいます。しかし、青色の○印をみてもわかる様に、短期的なポジション調整のような急落を見せることがあります。

仮にレバレッジを掛けてトレードをしていると、下落率×レバレッジ倍率分=評価損失となります。小さな下落も大きな損失になり、投資家にとっては心理的な負担がかかります。

相場では、トレンドを形成しても、短期的な反対トレンドが発生することに注意してください。

②エントリーポイントの見分け方と利益確定のタイミング

それでは、どこでエントリーしてどこで利益確定をするのが良いのでしょうか?以下で簡単な考え方を解説していきます。

2-1. 出来高

最初のチェックポイントは「出来高(取引量)」です。出来高が伴って動いているかどうかは、相場の大切なバロメーターになります。下図はビットコインの日足チャートです。

GMO coin 2

青色の○印をご覧ください。このタイミングで出来高を伴って下落しているのがわかると思います。上昇トレンド時にこのように出来高を伴った急落が起きた場合、ロングポジションを仕込む良いタイミングとなります。短期的な売り圧力が低下しているためです。

出来高を伴って反対方向に動いたことがトレンド転換のサインとなるケースもあります。しかし、個人的には(暗号資産の場合)一旦は反発することが多いと感じており、トレンド追随で良いと考えています。

2-2. 抵抗線と支持線のブレイク

次に大事な指標はレジスタンスラインやサポートラインがブレイクするかどうかをチェックすることです。このラインの見定めはとても重要です。ラインをブレイクすることで、レジスタンスがサポートに転じる(逆も然りです)ロールオーバーが発生します。下図のビットコインの日足チャートをご覧ください。

GMO coin 3
緑の平行線はレジスタンスとして機能していたラインですが、この水準を一旦ブレイクするとその後はサポートラインとして機能しています。

レジスタンスラインをブレイクして、一旦調整を迎えるもサポートとして機能した場合は、上昇トレンドと判断して、素直にロングポジションで攻めることが妥当です。

また、ブレイクした段階で指値を置いておくことで、2つ目の赤○印のように、再テストの下落を拾うことが可能です。このように、重要なレジスタンラインとトレンドの見極めは、とても重要なことなので覚えておきましょう。

③相場の天井の見分け方とエントリーポイント

相場というのは、どこかで天井が訪れます。短期的な天井か長期トレンドの最高値かはその後の展開次第で変化しますが、どちらにしてもその見方を頭に入れておくことはとても大切です。下図はリップル円の日足チャートです。

GMO coin 4

こちらは、先ほど紹介した内容も含めて様々な要素が含まれるため、より実践的な内容となります。一つ一つご説明します。

まず最初の紫の○印は上記でご説明した出来高を伴う急落です。上昇トレンドが止められていることがわかります。資金フローが価格を押し上げたけれども、大量の売り圧力があり、跳ね返された格好です。

次に水色の○印をご覧ください。水色の○印の2カ所で相場が止まっていることがわかります。これは2番天井という典型的なチャートパターンです。こうなった場合、天井の可能性が高いと言われています。

そして最後に緑の平行線をご覧ください。一度下落してこのラインで止められていることがわかります。つまりこのラインがサポートラインであり、このラインを割れると上昇トレントが終わったと判断出来るため、ショートのエントリーポイントとなります。

特に暗号資産も含めて相場というのは上昇よりも下落の方が速いものです。そのためショートエントリーでしっかりポジションが作れると、大きい利幅が取れるチャンスとなります。

次はシンプルに判断しやすいケースをご紹介します。下図はイーサリアム円の日足チャートです。

GMO coin 5

こちらはレジスタンスラインを突破したと見せかけた「騙し」のパターンです。重要なのはその前のレジスタンスラインがサポートラインに転換できず、そのまま下抜けしてしまっていることです。このように次のローソク足で一気に下回った場合は、水色の○印の位置でショートポジションを構築することで、その後の下落から利益を享受することができます。

これはかなり簡単に判断できるため、パターンの一つとして覚えておきましょう。

④下落相場で利益を出すことがFXの利点

暗号資産を現物のみで取引する場合、最初はロングポジションからのエントリーしかできず、下落で利益を出すことはできません。しかし、証拠金取引(レバレッジ取引:暗号資産FX)の場合、差金決済のデリバティブ取引であるため、ショートから入ることができます。日本の暗号資産市場の取引量の9割は、FXで占められています。下落相場でも対応したいというニーズが強いことがわかるでしょう。

最後に、今回はチャートパターンに基づいて解説しましたが、慣れてきたらテクニカル指標を併用して、予想の精度をあげるように取り組んでみてください。例えば、「RSI」や「ストキャスティクス」、「移動平均乖離率」は、「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を判断して、天井かどうか判断する際に使用されます。

組み合わせはトレーダー次第で千差万別なので、研究しながら良い組み合わせを探してみると良いでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12