積水ハウスのESG・サステナビリティの取り組みや将来性は?株価推移、配当情報も

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積水ハウスは、住まいを通じて環境問題の解決に取り組むなどESG・サステナビリティの取り組みに積極的な上場企業です。ESG経営のリーディングカンパニーとなるべく環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)のそれぞれの分野で様々な取り組みを進めているため、具体的な取組内容や投資先として検討したい方もいるのではないでしょうか。

この記事では、積水ハウスのESG・サステナビリティの取り組み内容や将来性について詳しく解説します。企業の特徴や株価推移、配当情報なども併せてご紹介しますので、ESG投資に興味のある方は参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年6月時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 積水ハウスの特徴
  2. 積水ハウスのESG・サステナビリティの取り組み内容
    2-1 環境
    2-2 社会
    2-3 ガバナンス
  3. 積水ハウスの業績・株価推移
  4. 積水ハウスの配当情報
  5. まとめ

1 積水ハウスの特徴

積水ハウス株式会社(1928)は、住宅に強い国内大手のハウスメーカーです。積水ハウスの住宅事業はもともと積水化学工業株式会社(4204)のハウス事業部としてスタートし、1960年8月1日に同事業部を母体とする形で設立されました。現在、積水ハウスの本社は大阪市にあり、東証プライム市場と名証プレミア市場に上場しています。

積水ハウスの強みは、高い技術力に裏付けされた「住まいづくり」です。最近は省エネと太陽光など再生可能エネルギーの創電によりエネルギー収支ゼロ以下を目指す住宅や、地震動エネルギーを熱エネルギーに変換する耐震システムなど、人と地球環境と社会にも配慮した住宅づくりを進めているのが特徴です。

積水ハウスの主な事業は、「請負型ビジネス」「ストック型ビジネス」「開発型ビジネス」「国際ビジネス」の4つのビジネスモデルに分類することができます。

  • 請負型ビジネス:オーナーが所有する土地で戸建住宅や賃貸住宅の建築を請け負う事業。戸建住宅事業、賃貸・事業用建物事業、建築・土木事業の3つのセグメントから構成される。
  • ストック型ビジネス:賃貸住宅の経営サポートや建築した住宅のリフォームを行う事業。賃貸住宅管理事業とリフォーム事業という2つの事業セグメントに分類される。
  • 開発型ビジネス:積水ハウスが土地を取得して戸建やマンションを建設して販売などを行う事業。仲介・不動産事業、マンション事業、都市再開発事業の3つのセグメントから構成される。
  • 国際ビジネス:アメリカ、オーストラリアなど5カ国で住宅事業を展開する国際事業セグメント。

2022年度の各ビジネスモデルの売上割合は「請負型ビジネス」が36.8%、「ストック型ビジネス」が26.8%で、この2つが積水ハウスの主力事業です。

他のビジネスモデルについても「開発型ビジネス」が15.9%、「国際ビジネス」が17.8%とバランスのとれた売上構成になっており、4つの事業領域の全てで収益を出せていることも積水ハウスの強みとなっています。

2 積水ハウスのESG・サステナビリティの取り組み内容

積水ハウスは、ESGやサステナビリティを意識した会社経営が社会的に浸透する前からESG経営へと舵を切った先進的な企業です。1999年には先駆けて「環境未来計画」を発表し、2008年には住まいからのCO2排出ゼロを目指す「2050年ビジョン」を宣言しました。

「わが家」を世界一幸せな場所にする、というグローバルビジョンのもとでESG経営のリーディングカンパニーとなるべく取り組みを進めています。

積水ハウスが2016年に定めた「サステナビリティビジョン2050」では、将来的に目指すべき姿と2050年に向けた長期目標が、以下のように掲げられています。

目指す姿 2050年のチャレンジ目標
脱炭素社会へ先導 住まいのライフサイクルにおけるCO2ゼロ
人と自然の共生社会へ先導 事業を通じた生態系ネットワークの最大化
資源循環型社会へ先導 住まいのライフサイクルにおけるゼロエミッションの深化
健康・長寿先進社会へ先導 住まいづくりを通じた健康・長寿の実現
ダイバーシティ社会へ先導 誰もが自分らしく能力を発揮できる社会の実現

また、積水ハウスでは2020年6月にESG経営推進部門(現ESG部門)を設置し、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の3つの分野で以下のような推進テーマに沿った取り組みが進められています。

環境

  • 脱炭素社会
  • 人と自然の共生社会
  • 資源循環型社会

社会

  • ダイバーシティの推進
  • 働き方改革
  • 幸せ健康経営
  • 人材育成
  • 人権の尊重
  • 社会貢献活動

ガバナンス

  • イノベーション&コミュニケーションを実現する組織風土の醸成
  • グループガバナンス体制の強化

以下、それぞれの分野で進められている代表的な取り組み例を詳しく確認していきましょう。

2-1 環境

積水ハウスは、早くから省エネや脱炭素社会の実現に向けた取り組みを始めており、太陽光標準搭載住宅やエネルギー収支ゼロ住宅ZEH(ゼッチ)の販売はその代表的な取り組みです。

ZEHとは、省エネと太陽光などエネルギーの創電によって使用エネルギーを創り出すエネルギーで賄うエネルギー収支ゼロを目指す住宅のことで、積水ハウスでは2013年からZEH「グリーンファーストゼロ」の販売・普及を進めています。

その結果、2021年度の戸建住宅ではZEH「グリーンファーストゼロ」の割合が92%まで高まっており、2023年6月時点では、賃貸住宅や分譲マンション、賃貸オフィスなどの非住宅建物のZEH化も推進中です。

この取り組みは今後も需要が見込まれる有望な事業であると共に、2050年のカーボンニュートラルに向けた一歩前進した取り組みとなっています。

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また、積水ハウスでは人と社会の共生のため、「5本の樹」計画という取り組みも進行中です。それぞれの地域に適した5本の樹木をセレクトして住まいの中に庭という小さな自然づくりを提案する取り組みであり、「3本は鳥のため、2本は蝶のため、地域の在来樹種を」との思いが込められています。

2-2 社会

社会(S)の分野で力を入れているのがダイバーシティの推進です。積水ハウスのダイバーシティ&インクルージョン(=多様性の受容)は、持続可能な未来に向けた3つのマテリアリティ(重要課題)としても掲げられており、「女性活躍の推進」「多様な人財の活躍」「多様な働き方の推進」を3つの柱として取り組みが進められています。

「女性活躍の推進」では、女性従業員のキャリア形成を支援する制度や営業職での積極的な採用活動、管理職登用のための「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」を開講するなど着実な取り組みを続けてきました。その結果、2022年1月には建設業界では高水準となる女性従業員比率28%に達しています。

「多様な人財の活躍」では、障害や年齢、性別、国籍などを問わず多様な人材が仕事を通して能力を発揮できる機会を増やすため、一般職から総合職へ転換できるキャリアアップ・チャレンジ制度が2006年に導入されたほか、現地採用を中心とした外国人を雇用したり、山口工場では積水ハウスとして初めて外国人の技能実習生を受け入れたりしています。

また、「多様な働き方の推進」においては、2018年に男性従業員へ育児に1か月以上の休業を促す「男性育児休業制度」を導入しました。この制度は2021年11月末時点で取得率100%を維持するなど運用状況も順調です。

2-3 ガバナンス

企業の健全な管理体制を意味するガバナンスの分野では、「イノベーション&コミュニケーションを実現する組織風土の醸成」を重視し、2021年から創発型表彰制度「SHIP」を創設しました。SHIPとは、グループ全従業員を対象とした表彰制度であり、自由なアイデアを気軽に出し合ってその成果を発表するものです。

この表彰制度は、グループ全体で表彰し情報共有することにより、イノベーション意識の誘発とイノベーションを創出し続ける自立的な人や組織をつくることが目的で、風通しの良い職場づくりと更なる企業価値の向上につながる将来を見据えた取り組みとなっています。

その他に、取締役会議長の社外取締役からの選任や役員報酬制度の抜本的な見直しなど、コーポレートガバナンスの強化や企業価値の向上に向けた取り組みが進められています。

3 積水ハウスの業績・株価推移

積水ハウスは、2016年1月期から7期連続で増収となっており、堅調な成長を遂げている企業です。以下の表は過去5期の売上高と営業利益、当期利益をまとめたものであり、2021年1月期こそ減益となったものの、2023年1月期は売上高、営業利益ともに過去最高を更新しています。

(単位:百万円)

決算期 2019年1月 2020年1月 2021年1月 2022年1月 2023年1月
売上高 2,160,316 2,415,186 2,446,904 2,589,579 2,928,835
営業利益 189,223 205,256 186,519 230,160 261,489
当期利益 128,582 141,256 123,542 153,905 184,520

2024年1月期も会社予想では売上高3兆800億円、営業利益2,650億円、当期利益1,930億円と過去最高を更新する見込みです。資材価格の高騰が落ち着いたことで国内の戸建住宅は続伸する予想ですが、国際ビジネスでは前年度売上の8割超を占めていたアメリカ事業で大幅な減益見込みとなるなど懸念材料も存在します。

次に積水ハウスの最近の株価を確認してみましょう。下表は2019年以降の四半期末日における終値をまとめたものです。

期末(1月末) 4月末 7月末 10月末
2019年 1,626円 1,792円 1,835円 2,342円
2020年 2,361円 1,858円 1,918円 1,726円
2021年 2,019円 2,209円 2,160円 2,361円
2022年 2,314円 2,259円 2,356円 2,475円
2023年 2,451円 2,790円

※積水ハウスはTOPIX100構成銘柄のため、呼値(注文可能な最小の値幅)が0.5円単位(株価が1,000円超5,000円以下)となっており、終値に小数点以下が表示される日もありますが、表では見やすくするために小数点以下を切り捨てにしています。

積水ハウスの株価は、2020年3月頃から2021年1月期の減益予想を受けて値下がりする局面はあったものの、2021年に入ると堅調な業績を背景に株価も上昇を続けており、2023年5月10日には上場来高値となる2,859円を記録しています。

今後も堅調な業績に支えられて株価は上昇局面にあるとの見方も可能ですが、米国市況の悪化や資材価格の上昇など懸念材料もあるため、業績動向については注視が必要です。

4 積水ハウスの配当情報

最後に積水ハウスの配当情報についても確認しておきましょう。以下の表は過去5期分の配当状況をまとめたものですが、2023年1月期までは毎年増配が続いています。

年間配当額 中間 期末 配当性向
2023年1月期 110円 52円 58円 39.8%
2022年1月期 90円 43円 47円 39.6%
2021年1月期 84円 45円 39円 46.4%
2020年1月期 81円 40円 41円 39.4%
2019年1月期 79円 39円 40円 42.4%

積水ハウスは2012年から11期連続での増配となっており、2024年1月期も中間59円、期末59円の年間118円と12期連続の増配予想です。

積水ハウスの「第6次中期経営計画」では従来の中期的な平均配当性向を40%以上とすることに加え、年間配当金の下限を110円とすることが公表されており、今後も堅調な業績に伴い増配傾向は続く可能性があります。

また、積水ハウスは株式の長期保有を促進するため株主優待を実施しており、毎年1月末日時点で1,000株以上保有している株主に新米の魚沼産コシヒカリ5kgが贈呈されます。

まとめ

積水ハウスは主に住宅の建築・販売などを営んでいる国内大手のハウスメーカーです。早くからESG・サステナビリティの取り組みを始めたESG経営の先進企業でもあることから、将来的にも需要のある住宅メーカーとしての地位を維持し、技術革新や海外展開を通じた成長が期待されます。

最近の株価も堅調な業績を受けて上昇基調にあり、2023年5月には上場来高値を更新するなど好調な値動きを見せている銘柄です。米国市況の変動など懸念材料はありつつも、今後も堅調な業績を背景に増配も続く見込みのため、積水ハウスのESG取り組み内容や投資に関心のある方は、この記事を参考にご自身でもお調べになった上で検討してみてください。

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