今回は、楽天ウォレットの証拠金取引所サービスについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- 楽天ウォレットとは
1-1.楽天ウォレットの概要
1-2.楽天ウォレットの特徴 - 楽天ウォレットの証拠金取引所サービスとは
2-1.証拠金取引所サービスの概要 - 楽天ウォレットの証拠金取引所サービスの特徴
3-1.円建て取扱銘柄数国内No.1
3-2.マイナス取引手数料を導入している
3-3.建玉管理料がかからない
3-4.「TradingView」を搭載している
3-5.APIに対応している - 楽天ウォレットの証拠金取引所サービスの使い方
4-1.口座を開設する
4-2.証拠金口座を開設する
4-3.取引スタート - まとめ
22年11月23日、楽天グループにおいて暗号資産(仮想通貨)交換業を手がける楽天ウォレット株式会社が、「証拠金取引所サービス」の提供をスタートしました。
証拠金取引所サービスは、パソコンでの「取引所形式」が可能になっており、従来の証拠金取引「楽天ウォレットPro」で取扱いのある銘柄に4銘柄を追加して円建て取扱9銘柄という、国内No.1の品揃えとなっています。
ここでは楽天ウォレットの「証拠金取引所サービス」について、その概要や特徴、具体的な取扱通貨のほか、実際の使い方までを詳しく解説していきます。
①楽天ウォレットとは
1-1.楽天ウォレットの概要
「楽天ウォレット」とは、楽天グループの傘下である楽天ウォレット株式会社が運営を行っている仮想通貨取引所です。
楽天ウォレットは当初、スマホ専用で利用できる「仮想通貨の販売所(相対取引)」として、現物取引および証拠金取引の提供をスタートしました。このほど新たにPC「証拠金取引所サービス」を加え、パソコンでの取引サービスに対応しました。
親会社である楽天グループが提供している金融サービスとも連携するため、サービスやセキュリティ、内部管理態勢なども十分考慮されている仮想通貨取引サービスが特徴です。
1-2.楽天ウォレットの特徴
①楽天ポイントが利用できる
楽天ウォレットでは取引に楽天ポイントを利用することが可能です。
楽天ポイントは、「楽天市場」における買い物や楽天カードの利用など、楽天が展開する各種サービスを利用することによって貯めることができます。
楽天グループは現在、約70を超えるさまざまなサービスを展開しているため、日常生活で気軽に利用するだけで、簡単にポイントを貯めることが可能です。
楽天ウォレットでは、この楽天ポイントを「1ポイント=1円相当」として、最低100ポイントから、仮想通貨に交換することができます。
そのため、いきなり現金を投入して資産運用することに不安を感じる方でも、まず最初にポイントを利用した取引から始めることができるというわけです。
②SPU(スーパーポイントアッププログラム)
楽天ウォレットは、「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の対象となっています。
SPUとは「楽天市場」におけるポイントアッププログラムのことを指し、対象となるさまざまな楽天サービスを利用し、条件をクリアすることによって、楽天市場でのポイント還元率がアップする仕組みとなっています。
楽天ウォレットでは、一ヶ月に三万円以上の仮想通貨現物を購入することで、その月の楽天市場でのポイント還元率が「+0.5倍」までアップします。
なお、SPUの条件達成の対象には、現金での購入分のみならず、楽天ポイントの交換分も含まれるため、ユーザーはお得に利用することが可能となっています。
③楽天キャッシュへのチャージができる
楽天キャッシュとは、楽天グループのオンライン電子マネーのことを指し、楽天ウォレットでは自身が保有している仮想通貨を楽天キャッシュにチャージすることが可能です。
そして、チャージした仮想通貨は楽天市場や、楽天ペイアプリ、楽天ポイントカードアプリなどを通して全国のスーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアでの支払いに利用することが可能です。
通常、仮想通貨を普段の決済に利用したい場合は、仮想通貨を売却して日本円に換金し、それを銀行口座へ送金、送金した資産を銀行口座から引き出す必要がありますが、楽天ウォレットではこのような作業は必要なく、ビットコインをはじめとする仮想通貨を簡単に日常の決済で利用することが可能です。
このように、楽天ウォレットは楽天が提供するさまざまなサービスと連携することによって、他の取引所にはない独自のメリットを生み出しています。
④セキュリティが強固
前述の通り、楽天ウォレットは楽天グループで培われてきたノウハウを活かし、高水準のセキュリティ環境を維持することに成功しています。
具体的には、ユーザー資産をインターネットと完全に切り離された「コールドウォレット」で管理しているほか、アクセス検知および本人認証によって徹底した不正アクセス対策を講じているなど、ユーザーが安心して取引を行うことができる環境を整備しています。
⑤土日祝日でもリアルタイムでの入出金が可能
楽天ウォレットでは「楽天ウォレットアプリ」と呼ばれるスマートフォン向けアプリを提供しており、このアプリを利用することによって、土日祝日であってもリアルタイムでの入出金を行うことができます。
また、楽天銀行を持っていなくても、ユーザー専用の入金口座へ各種金融機関から入金することが可能なほか、出金先口座についても、ユーザーが保有する楽天銀行以外の金融機関口座を登録することによって、外部金融機関口座への出金が可能となっています。
②楽天ウォレットの証拠金取引所サービスとは
2-1.証拠金取引所サービスの概要
楽天ウォレットはこれまで、仮想通貨の販売所(相対取引)として現物取引および証拠金取引のサービスが提供してきましたが、22年11月23日、新たに取引所を開設し、証拠金取引所サービスの提供をスタートしました。
証拠金取引とは、口座に預け入れた資金(証拠金)を担保とすることで、証拠金の何倍もの金額で取引を行うことができる手法です。
証拠金取引は取引のために高額な資金を用意する必要がなく、少ない資金で大きな利益を狙うことができるため、多くの投資家から人気を集めています。
楽天ウォレットは証拠金取引所サービスに関して、かねてから「取引所形式」および「パソコンでの取引サービス」についての要望が多かったと言います。今回はその要望に応える形で、証拠金取引所サービスが追加されました。
③楽天ウォレットの証拠金取引所サービスの特徴
3-1.円建て取扱銘柄数国内No.1
楽天ウォレットの証拠金取引所サービスにおける取扱通貨数は9種類です。22年10月24日時点に国内登録暗号資産関連金融商品取引業者Webサイトに掲載されている情報の中で、「円建て×取引所×証拠金取引」というサービスとしては、取扱銘柄数国内No.1を誇っています。
〇取扱銘柄
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- ビットコインキャッシュ(BCH)
- ライトコイン(LTC)
- リップル(XRP)
- ステラルーメン(XLM)
- テゾス(XTZ)
- ポルカドット(DOT)
- カルダノ(ADA)
なお、「ステラルーメン(XLM)」、「テゾス(XTZ)」、「ポルカドット(DOT)」、「カルダノ(ADA)」の取り扱いについては、取引所形式の証拠金取引として国内初の事例です(22年10月24日時点)。
ユーザーは自身のニーズにマッチした柔軟な取引を行うことが可能となっています。また、対応通貨は今後も随時追加されていくということで、引き続きその最新情報に注目していきたいと思います。
3-2.マイナス取引手数料を導入している
楽天ウォレットの証拠金取引所サービスでは、マイナス取引手数料を導入しています。
売買取引が成約した際、ユーザーは通常一定の取引手数料を支払う必要がありますが、マイナス手数料の場合においては、反対にユーザーが約定金額に応じた金額を受け取ることが可能となっています。
楽天ウォレットの証拠金取引所サービスでは、このマイナス取引手数料のシステムを一部導入しており、「メイカー」のユーザーは流動性を提供したことへの対価として、マイナス手数料という形で「0.01~0.02%」に相当する金額の日本円を受けることができると説明されています。
メイカー(Maker)は「流動性を提供する注文」の事で、「指値・逆指値注文」を取引板に並べ、反対売買を出す相手を待ちます。一方、テイカー(Taker)とは「既に板に並んでいる注文をさせる注文」です。「成行・指値注文」を使い、板に並んでいる注文を取る(テイクする)取引になります。
マイナス手数料が適用されるのはメイカーの場合のみです。
なお、「テイカー」の場合は手数料の支払いが発生するため、注意が必要です。
3-3.建玉管理料がかからない
楽天ウォレットの証拠金取引所サービスは、5銘柄において建玉管理料がかからないというメリットがあります。
建玉管理料とは、ポジションを保有したままの状態で翌営業日へ繰り越す場合に、建てたポジション金額に応じて発生する手数料のことを指します。
特に、自己資金の何倍もの金額を「ポジション(建玉)」として保有する証拠金取引においては、建玉管理料のパーセンテージがとても重要な要素となり、投資の優位性に直結することになります。
楽天ウォレットではこの建玉管理料が「0.00%」となっており、ユーザーは手数料を気にすることなく取引を行うことができるため、ポジションを数日から数週間にわたって保有する取引手法である「スイングトレード」に最適なサービスと言えるでしょう。
なお、建玉管理料が0.00%に設定されているのは「ビットコイン(BTC)」、「イーサリアム(ETH)」、「ビットコインキャッシュ(BCH)」、「ライトコイン(LTC)」、「リップル(XRP)」となっています。「ステラルーメン(XLM)」、「テゾス(XTZ)」、「ポルカドット(DOT)」、「カルダノ(ADA)」に関しては1日あたり「0.04%」の建玉管理料が発生するため、注意が必要です。
3-4.「TradingView」を搭載している
楽天ウォレットの証拠金取引所サービスは、高機能チャートとして広く利用されている「TradingView(トレーディングビュー)」を搭載しています。
TradingViewはアメリカのシカゴに本社を構える「TradingView Inc.」によって開発が行われている高機能チャートで、全世界において約1,500万人を超えるトレーダーに愛用されています。
また、日本国内においても多くの投資家が利用しており、投資業界で最も著名なチャートの一つとなっています。
楽天ウォレットの証拠金取引所サービスではこのTradingViewが利用できるため、ユーザーは豊富なインディケーターやテクニカル指標を駆使することで、より効率の良い取引を行うことが可能です。
3-5.APIに対応している
楽天ウォレットの証拠金取引所サービスは自動化に必須である、中・上級者向けのAPIに対応しています。
具体的には、「パブリックAPI」のほか、口座開設完了後に取得可能な「プライベートAPI」を提供するということです。
この楽天ウォレットのAPIを利用することによって、ユーザーは取り扱っている銘柄一覧の取得やローソク足データの取得のほか、板の取得、歩値の取得、注文、残高照会などの操作を行うことが可能となります。
また、ユーザーが作成したプログラムと連携させることによって、より高度な取引を行うことも可能だということです。
④楽天ウォレットの証拠金取引所サービスの使い方
4-1.口座を開設する
楽天ウォレットの証拠金取引所サービスを利用するためには、まず楽天ウォレットの口座を開設する必要があります。
①始めに、楽天の会員登録を行い、楽天会員でログインします。
②次に、各種交付書面の承諾を行います。
ここには、取引に関する重要な規定が記載されているため、すべてしっかり確認した後、チェックボックスにチェックを入れます。
③次に、お客さま情報の登録を行います。
表示された手順に従って、取引に必要なユーザー情報を記入してください。
④次に、楽天銀行口座を持っている方は、楽天銀行の口座振替登録を行います。
楽天銀行口座を持っていない方は、らくらく本人確認というシステムで本人確認書類を提出します。
⑤その後、審査が実施され、審査を通過した時点で、すぐに取引が可能となります。
なお、現時点において法人名義の口座開設はできないため、注意が必要です。
4-2.証拠金口座を開設する
楽天ウォレットの口座を無事開設できたら、次は証拠金口座の開設を行います。
①まず、マイページにログインします。
②次に、「証拠金取引口座開設申込」から、口座開設の申込みを行います。
③前項の口座開設時と同様、各種交付書面をしっかりと確認し、承諾します。
④次に、申込フォームに沿って、ユーザー情報の登録を行います。
⑤その後、ユーザーが登録した情報をもとに、総合的な審査が行われ、審査の結果がメールで送付されます。
⑥無事審査に通過すると、口座開設完了となり、取引が可能となります。
なお、口座開設には投資経験や投資目的、その他一定の条件が存在するため、口座開設ができない場合もあるということで、注意が必要です。
4-3.取引スタート
証拠金取引口座の開設が無事完了したら、実際に証拠金取引所サービスで取引ができるようになります。
なお、現時点ですでに証拠金取引口座を持っているというユーザーは、新たに口座開設を申し込む必要はないということです。
なお、現在公開されている実際の取引画面はこのようになっています。
ここでは、この取引画面に沿って実際の取引手順を解説していきます。
①まず、画面左側のタブから取引したい銘柄を選択します。
②次に、画面右側上部に表示されている「成行」もしくは「指値」などの注文方法を選択した後、売買区分を選択します。
③次に、レバレッジの倍数を選択します。
ここでは、「1.0」から0.1刻みで「2.0」までの倍数を選択することが可能となっています。
④レバレッジの倍数が選択できたら、次に購入したい仮想通貨の数量を選択します。
それぞれの仮想通貨銘柄に関する購入可能な最小数量および最大数量は、右側に表示される仕組みとなっているため、しっかり確認してから選択するようにしましょう。
⑤数量の選択が完了したら、次に「両建」の有無を選択し、確認をして注文完了となります。
なお、両建てとは、同じ仮想通貨銘柄において「買いポジション(買い注文)」と「売りポジション(売り注文)」を保有することを指し、楽天ウォレットの証拠金取引所サービスでは、「両建なし」を選択した場合、自動的にFIFO注文となるため注意が必要です。
⑤まとめ
楽天ウォレットは言わずと知れた大手企業である「楽天グループ」傘下の「楽天ウォレット株式会社」によって運営されている仮想通貨取引所で、楽天グループが展開している約70を超えるサービスとの連携によって、ほかにはないユニークなサービスを提供しています。
今回、ユーザーの要望に応える形で証拠金取引所サービスの提供をスタートする旨が発表され、業界からは大きな注目を集めています。
この証拠金取引所サービスは国内最多規模の取扱銘柄数を誇っているほか、マイナス取引手数料を導入していることや建玉管理料が無料なことから、ユーザーがよりお得に取引を行うことができる環境が整っているため、興味のある方はこの機会に楽天ウォレットで口座を開設し、間もなくリリースされる証拠金取引所サービスを利用してみることをおすすめします。
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