証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。
目次
- 13. ナンピンの禁止
- 14. 耐えよ、焦るべからず
- 15. 小さな利益と大きな損失は厳禁
- 16. 逆指値注文を必ず置き、キャンセルは現金
- 17. 頻繁に売買を行うことは禁止
- 18. 空売り(ショート)を有効活用すること
- ギャン理論は教科書として利用すること
相場に関して、過去の先人が作り上げた様々な理論が残されています。その中でもギャン理論は多くの支持を集める理論であり、投資家のバイブル的な存在として認識されています。これまでギャン理論の格言を12番目(上編、中編)まで紹介して来ましたが、ここでは13番から18番目までご紹介していきたいと思います。
13. ナンピンの禁止
個人的には「ナンピンの禁止」は投資の鉄則とも言って過言ではないと考えています。ギャン理論に限らず、これは投資を行っていると見聞きすることも多い内容でしょう。
使い方によるところもありますが無計画なナンピンはマーケットからの退場のスピードを早めていると考えてください。NGなナンピンの典型は、「下落がストップする位置の目安」の分析できていないのに行うことです。
反発を狙ってナンピンをしたところ、ずるずると下落し続け、損失を取り戻すためにムキになって買いなおす―負けず嫌いなトレーダーがやりがちなミスです。しかし、トレーダーが一度のミスで資産の大半を失いかねないのがこのナンピンです。
ナンピンをしてエントリー価格を下げよう、とよく言われます。しかし、それであれば一旦撤退し、下がり切ってから改めてエントリーすればいいだけの話です。
チャートには節目というものはありますが、本当にそのラインで止まるかはわかりません。そこを敢えてナンピンをするのは合理的ではありませんし、その時点で自分自身の感情に負けていると考えてください。
ただし、計画的にナンピンをする場合は、別の話となります。必ずしも全てのナンピンを否定する訳ではありません。結論的には「心理的に負けを認められず、無闇なナンピンなのか」、「最初からシナリオ通りに行うナンピンなのか」という点で大きく異なります。是非これはしっかりと頭に入れておいてください。
14. 耐えよ、焦るべからず
この格言も、感情をコントロールしてしっかりと利益を伸ばすことを意味しています。エントリーをして、評価益が出始めると普通の投資家が「ここから反対方向に行くと嫌だから、一旦この利益を確定してしまおう」ということです。
このように、エントリー時に決めたラインまで到達していなくても、安易に利益確定を行う投資家が多く見受けられます。暗号資産の場合、大きな値動きが出やすく、利益が大きく伸びることも往々にしてあります。
そうなると、利益確定したいという衝動に駆られることがありますが、大事なことは「決めたルール、目標としているターゲットまで利益をしっかりと伸ばすこと」です。
短期的な感情に負けずに淡々とルールに沿ってトレードする姿勢が大切です。こうしたトレードでは勝つことはできても、悪癖がつくことになりいずれトレードに失敗することになります。自分の感情に負けないということが、相場では何よりも難しいことを理解しましょう。
15. 小さな利益と大きな損失は厳禁
この格言は14の格言に通ずるものがあります。小さな利益を積み重ねたとしても、適切な損切りができない様であれば、わずか1敗でトータル損益をマイナスにする危険性があります。
目標とするものは「大きな利益と小さな損失」です。長期的にリターンを出している投資家の特徴は違うと思ったらすぐに撤退して、再度落ち着いて相場を眺めることができる投資家が多いです。
トレードで100%の勝率を出すことは難しいことを理解して、諦めるときは潔く負けを認め、再度エントリーできるチャンスを伺いましょう。トレードで利益が伸びて来たら、ターゲットに達するまで耐えるようにしましょう。「損小利大」は相場の基本として捉えてください。
16. 逆指値注文を必ず置き、キャンセルは現金
この格言もしっかりと損切りを徹底することにつながります。
最初に逆指値注文を置いて、損切りラインを明確にするところまでは、初心者でも簡単に行うことができます。しかし、実際にこの注文まで到達して損失が確定しそうになると、「もしかしたら反発してエントリーポイントまで戻ってくるのではないか?」という根拠のない願望が脳裏をよぎり、せっかく出した逆指値注文をキャンセルしてしまうケースがあります。
これはトレードで失敗する投資家の典型的な例です。このような行動を行う投資家は軒並み、一度のミスが命取りとなりマーケットから撤退を余儀なくされるでしょう。
エントリー時に注文を出した逆指値注文は、キャンセルせずにしっかりと置き続けましょう。その注文が成立したときは自分のシナリオや予想が間違っていたというだけです。次に繋げるため、前向きな撤退と考えるようにしましょう。
17. 頻繁に売買を行うことは禁止
別の格言では、トレードしないと気が済まないという心理的な状況を指して、「ポジポジ病」という言葉を説明しました。頻繁な売買は期待値が低いにもかかわらず、スプレッドや取引コストが必ず発生します。
スキャルピングと呼ばれる手法で超短期売買を行うトレーダーもいますが、初心者には難しく、徹底したリスク管理が求められる点でかなり上級者の手法です。コストが常にかかる取引で、期待値も低下します。期待値の低下を自身のトレードで埋め合わせる事は難しいため、上級者ではない限り控えた方が賢明でしょう。
ポジションは勝てると思う時にのみ保有すればいいものです。まずはトレンドを見つけ、ルール通りに取引を実行して利益を淡々と積み上げることが一番大事なことです。コスト感覚をしっかりと見つけて、いけると思った時にエントリーするよう心がけてください。
18. 空売り(ショート)を有効活用すること
相場というのはじりじりと上昇し、急な角度で下落することが多くあります。こうしたトレンドに慣れている投資家は、この下落局面でも利益を上げることができます。
相場ではポジションが傾いている方向とは逆方向に動き始めると、大量のストップ・ロスや強制清算を誘発するため相場のスピードも早くなります。初心者はロングからのエントリーを考えがちですが、下落時はショートポジション(空売り)で利益を上げることもできます。この動きも上手く活用していただくといいでしょう。
ギャン理論は教科書として利用すること
今回は18までの格言をご紹介しました。ギャン理論は当たり前のことが記載されていますが、実行するのは意外と難しいものばかりです。普遍的な訓示がしっかりと言葉にしてまとめられているため、ギャン理論は投資家の教科書やバイブル的な存在と言われています。相場で困ったり焦ったりしているときはぜひ、自分自身を落ち着かせるためにもギャン理論を振り返ってみましょう。是非何度も見返してみてください。
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中島 翔
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