証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。
目次
①イーサリアムの価格が2週間で70%上昇
7月の半ばまで24,000円程で推移していた暗号資産イーサリアム(ETH)は、執筆時点(8月5日)には41,000円にまで高騰しています。2週間程で70%もの価格上昇という驚異的なパフォーマンスの背景には、暗号資産コミュニティが心待ちにしているイーサリアムの大型アップデート「Ethereum2.0」があります。
現在のイーサリアムはver1.0であり、ワールドコンピューターとしての機能を果たす目的に向けた進化の過程にある状態です。多くの開発者がその目的に共感し、プラットフォーム上に様々なアプリを構築してイーサリアム経済圏を拡大してきました。
特にDeFiの領域は2018年頃から急激に拡大しており、現在ではイーサリアムのネットワークを圧迫するほどの大量のトランザクションが発生しており、取引手数料の高騰の原因となっています。こうした背景からイーサリアムの改善に期待する声はますます大きくなっています。
Ethereum 2.0はこれまで、延期を繰り返してきたこともあってマーケットに与える影響も限定的でした。しかし、既に約1年の延期を経ており、8月4日にはテストネット「Madella」が起動するなど、実装に向けた期待が本格的に高まっています。
テストネットローンチ直後に世界中で多くのバリデータが参加し、検証作業に協力していることを示すデータが観測されました。テストネットMadellaでは、Ethereum2.0起動前の最終的な検証作業を行います。当初はバリデータの数が想定よりも少なかった為、若干肩透かしを食らった印象を受けた開発者もいましたが、テストネット自体に大きな問題はない様です。
②テストネット稼働後のマーケット
テストネットが稼働した8月4日にイーサリアム価格はさほど変動しなかったため、既にマーケットとしては今回のアップデートをある程度織り込み出していることが窺えます。
相場の格言に「噂で買って事実で売れ(Buy the rumor, sell the fact)」というものがあります。これはマーケットが半信半疑の時にポジションを保有し、その噂が事実となった時には売却して利益確定することが良いという意味です。
つまり、ニュースとして明確になってからポジションを作ったとしても遅いということです。これは相場でトレードする上で重要です。ある程度早期にエントリーしておかないと、利益を伸ばすのは難しくなります。
実際の8月4日前後のイーサリアムの値動きを見てみましょう。
このようにニュースが出る際はほぼ市場は織り込んでおりこの後は利益確定で売られるか、横ばいで継続するパターンが多いものです。
③2019年以降のイーサリアムの価格動向
それでは、昨年からのチャートを見てみましょう。最近ほどではないにしても、昨年からEthereum2.0の開発動向は話題となっていました。
現在のイーサリアム価格は、二番底をつけて綺麗な上昇トレンドに入っています。この期間の主要なイベントを考慮すると、価格動向を以下のように分析することができます。
1. 2020年7月末の価格上昇はステーキング目的の現物ETH買い需要
Ethereum2.0へ移行すると、イーサリアムはPoWからPoSへ移行します。その際、ステーキングに参加するには最低でも32 ETHを保有している必要があるため、駆け込み需要で価格が上昇した可能性があります。
32 ETHの要件が投機的な資金フローではなく買い切り(長期保有)のフローを引き寄せ、売り圧力がかかりにくい状況となっていると考えられます。価格上昇前は100万円あれば32 ETH集められましたが、今や120万円以上必要です。
また、現在ステーキングとしてETHを集めている投資家は「アーリーアダプター」と考えられます。Ethereum2.0が起動すれば、一般的な投資家もステーキングに参加し始めるでしょう。ETHの需要が増加すれば、価格はより上昇する可能性があります。
2. バグの懸念
現在のMadellaテストネットは検証段階にあります。数週間の検証作業を進めていく中で、大きなバグや問題が見つかれば、11月のメインネットローンチは更に延期されることになり、市場は冷や水を浴びせられる形となります。
暗号資産マーケットの経験が長い人たちはバグのリスクが常に存在すると理解しています。テストネットで大きな問題が見つかり、アップデートが延期されることをリスクとして捉えているでしょう。このリスクが顕在化してETHが売り浴びせられる場合、短期筋から見れば大きな利益を生むチャンスとも言えます。ネガティブなニュースには特に注意しましょう。
逆に言えば、テストネットで問題がなければ、安心感からさらにイーサリアムに買いが入ると想定しています。確実にメインネットに移行するというニュースによって、さらに資金が投入される状況は充分に考えられます。
現状について考えると、アーリーアダプターの購入は一段落したと見て良いと思っています。わずか1カ月に満たない期間で暗号資産市場に20兆円近い資金が流れてきており、イーサリアム単体では2兆円程の資金が流入しました。しかし、この資金は新規投資家によるものではなく、既存の暗号資産プレイヤーによるものと思われます。
テストネットの起動も一般世間的には話題になっていないため、現状は暗号資産のマーケット内で資金が動いていると認識しておきましょう。新規参入者を迎えるのはまだ先になりそうです。
④イーサリアムの今後の動きと購入方法
イーサリアムの今後の動きについてまとめていきたいと思います。結論を先に申し上げると「今回のアップデートに大きなミスが出なければ上昇トレンドが継続する」と判断していいでしょう。
イーサリアムのファンダメンタルズはこれまでとは大きく異なります。開発動向を注意しておくべき状況となっています。
アップデートにエラーが出ると、それまでロングポジションを保有してきた投資家の投げ売りが一旦入ると想定されます。いずれエラーは解消されると見越して、大きく下落したらロングポジションを構築する戦略で良いと考えています。
エラーがなくアップデートが成功すれば大きな下落は見込めないため、淡々と押し目を拾って行くスタンスでロングポジションを作っていきましょう。
⑤イーサリアムに投資可能な暗号資産取引所
イーサリアムは暗号資産の世界では時価総額2位の銘柄で、時価総額は4兆円程度となっています。
そのため日本でもほとんどの暗号資産取引所で購入することができます。初心者の方が中長期的にイーサリアムを保有したいということであれば、昔から使いやすさで定評のあるCoincheckや、法定通貨のFXでは日本トップクラスの証券会社を親会社に持つGMOコインの口座を開設して購入してみるといいでしょう。
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中島 翔
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