【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】DeFiの盛り上がりとイーサリアム上昇の関連性について

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今回は、DeFiの盛り上がりとイーサリアム上昇の関連性について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. DeFiとは
  2. DeFiが描く金融の未来
  3. DeFi関連サービス
  4. DeFiとイーサリアムの関連性
  5. イーサリアム市場におけるDeFiの影響
  6. まとめ

2020年からDeFi市場が盛り上がりをみせ、基盤となる仮想通貨イーサリアムも大きく上昇しています。2021年4月2日にクレジットカード最大手のVISA社がイーサリアム上のステーブルコイン(USDC)の決済導入を発表するなどイーサリアムのファンダメンタルズは強力となっており、過去最高値を更新し続けている状況です。今回は金融の未来形と称されるDeFiとイーサリアムの密接な関係について解説します。

①DeFiとは

まずはDeFi(ディーファイ)とは何かという点について解説します。DeFiとは(Decentralized Finance)の略で直訳すると非中央集権型金融となり、日本語では分散型金融と訳されることが一般的です。

分散型金融の意味を理解するためには、その対極にある現在の中央集権型と呼ばれる金融の仕組みの理解が必要です。

例えば誰かに送金をしたい場合、従来の金融制度下では主に銀行が提供する送金システムを利用することになります。金融機関の窓口で現金を振り込む場合もありますが、基本的には自分の銀行口座を用意して、送金相手も銀行口座を持っている必要があります。いずれにせよ送金は金融機関の仕組みを使用する必要があり、金融機関の口座を保有する必要があります。

銀行口座の課題として、利用が営業日に限られることが挙げられます。最近はオンラインバンキングが発展をしているものの、メンテナンスなどで数時間使えなくなる場合はあります。さらに金融機関が管理する仕組みは、システムダウンやハッキングなどのリスクもあります。国際送金の手数料も安いものではありません。

そもそも、世界人口の1/3は銀行口座を持っていない(アンバンクト)というのが現状です。日本において銀行は非常に信頼されていますが、世界に目をむけると銀行を信用できない国もあります。

DeFiはこれらの課題をクリアにする可能性があるのです。分散型金融は現状の金融機関のように中央集権的な管理者が必要ない仕組みです。ブロックチェーン上に資産を保存し、スメートコントラクトで動くアプリケーションを介して、透明性の高い金融サービスを提供できるようになります。

②DeFiが描く金融の未来

DeFiが発展した世界は、どのような未来になるのでしょうか。

まずは口座間送金や決済などで、金融機関の仲介が不要となります。当事者間で直接取引や契約できるため仲介料やサービス料が発生せず、コストを安く抑えることができます。さらには発展途上国で生活する銀行口座を持たない人々(アンバンクト)も、安価な金融サービスを利用するできるようになります。

ただし、分散型金融のデメリットとしては、中央管理者がおらず責任の所在がはっきりしないので、資金管理は全て自己責任のもとで行うこととなることです。誤操作などで送金を間違ったとしても誰も責任は取ってくれません。

③DeFi関連サービス

次に現在利用されている主要なDeFi関連サービスを解説します。

  1. DEX・・・スマートコントラクト機能を利用して作られる管理者のいない分散型取引所
  2. レンディングプラットフォーム・・・仮想通貨の融資や借入を自動で申し込める仕組み
  3. イールドファーミング・・・レンディングプラットフォームに自分の資産を預け他社への貸出原資とすることで報酬を受け取る仕組み
  4. 流動性マイニング・・・イールドファーミングの流動性プールに貢献することで運営に貢献し報酬を受け取る仕組み
  5. 分散型保険・・・保険の仕組みを自動化し、トークン所有者の投票などにより保険の支払いを決定する仕組み
  6. 分散型デリバティブ・・・デリバティブ商品とトークンを紐づけデリバティブ売買をユーザーが可能とする仕組み
  7. 分散型ペッグ通貨・・・政府通貨とペッグされたコインを高い透明性の元で作ることができる

④DeFiとイーサリアムの関連性

次に、なぜDeFiと イーサリアムの関連性が強いのかについて解説します。

DeFiサービスを提供する多くのアプリケーションは、イーサリアムのブロックチェーン上に構築されています。イーサリアムがDeFiのベースとして利用される理由として、ビットコインのブロックチェーンは決済に特化している一方で、イーサリアムのブロックチェーンは契約を自動化するスマートコントラクトの存在があります。金融取引において契約は欠かせないものとなっているため、イーサリアムが持つ機能がDeFiにとっても欠かせないものとなっています。

また、イーサリアムがビットコインに比べて処理速度が速いこともポイントになります。スマートコントラクトや金融取引において処理速度の速さというのは実用性の高さと相関するためです。

イーサリアムを利用したDeFiサービスは、既に全世界で数百を超えており、増加の一途を辿っています。DEXやレンディングプラットフォームも既に稼働しており、今後もさらに同様のサービスや新たなサービスローンチが増えていくと予想されます。

⑤イーサリアム市場におけるDeFiの影響

最後に仮想通貨イーサリアムの価格にDeFiが及ぼす影響について解説します。

Eth price
こちらはイーサリアムの2020年7月以降のグラフとなります。2021年2月最高値を更新したなと3月末にもさらに高値を更新している状態です。この価格上昇の背景にはDeFiがあると言われますが、一体どのようなことが起こったのでしょうか。

2021年3月にDEXの総取引高は558億ドル(約5兆8,500億円)に達し、過去最高を記録しました。DEXの取引高が上がったということは、イーサリアムやイーサリアムベースの仮想通貨の流動性が上がっているということです。流動性が上がるということは、関連する仮想通貨の需要が高まっていることを意味し、 イーサリアムの上昇も必然だったと言えます。

今後のDeFiとイーサリアムの展望

現在、このDeFi分野の一角であるイールドファーミングや流動性マイニングに投資することで、他の金融商品にはない高利回りが実現しています。

まさにブームですが、この流れが今後も継続するとなると、イーサリアムやDeFi関連コインの価格は今後も上昇していくと予想されます。

また、新たなDeFi関連のサービスが次々とローンチし、市場の注目が高まるほど、資金を集められることになります。 イーサリアムの価格も上昇しやすい地合いとなるでしょう。

⑥まとめ

資産運用のひとつの手段として、レンディングサービスや流動性マイニングなどに興味をもたれた方はまずは国内の仮想通貨取引所でイーサリアムを購入することから始めると良いでしょう。

現在の資本主義社会においては、自由な金融取引ができるようで、実際のところ制限が多くあります。しかし、快適に金融サービスを受けられる人が限られているという現状が、DeFiの発展によって、より自由に金融取引ができる世界へと変わっていく可能性があるのです。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12