【取引所の元トレーダーが解説】 暗号資産(仮想通貨)とトークンの違い

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今回は、暗号資産(仮想通貨)とトークンの違いについて、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. トークン発行の利点
  2. トークンの種類
  3. まとめ

仮想通貨、及び暗号資産(Crypto Assets)について調べているときに、「トークン(Crypto Tokens)」という言葉を聞いたことがあると思います。どちらもブロックチェーンベースのデジタル資産であり、インターネット上でやりとりできる財産的価値です。

しかし、暗号資産と暗号トークンの2つの最大の違いは、暗号資産には独自のブロックチェーンがあるのに対し、暗号トークンは既存のブロックチェーン上のプログロムで構築されていることです。これにより、それぞれが特定のユースケースに適したものになります。

ブロックチェーン上でアセットを発行するコンセプトは以前からありましたが、イーサリアムの誕生によって爆発的に増加しました。ここではトークンの特性や種類について詳しく見ていきましょう。

①トークン発行の利点

2011年から2015年の間には、ビットコインのソースコードを活用して多くのブロックチェーンプロジェクトが立ち上げられました。

例えばライトコインは、ビットコインの「オープンソースコード」を利用して独自のブロックチェーンが作られており、その過程でブロック生成時間はビットコインの4分の1に短縮、発行上限数は同4倍に改変されています。

しかし、このような新たなブロックチェーンが上手く機能するためには、①分散型ネットワークのセキュリティを確保する多数のノード、②取引を検証するマイナー、③プロトコルを開発し維持する開発者が必要となります。これらの要件を十分に満たすことは、非常に困難です。

一方、既存のブロックチェーン上でトークンを発行することで、①②のハードルを無視することができます。

既存のブロックチェーンにはマイナーが存在し、彼らはブロックチェーン上のトークンの取引記録も検証します。そして、ブロックチェーンネットワークの参加ノードに、取引履歴が共有されるのです。

独自ブロックチェーンを構築するのに比べれば、既存ブロックチェーン上でのトークン発行は非常に簡単です。作成されたトークンは、既存ブロックチェーンのセキュリティ、機能、スケーラビリティを享受することができます。

②トークンの種類

トークンを発行できるブロックチェ―ンは、テゾス、クオンタム、ネム、リスク、ステラルーメンなど複数ありますが、現在のところ最も発展しているのはイーサリアムです。イーサリアムにはERC(Ethereum Request for Comments)というトークン規格があり、代表的なERC20のほか、多くのERCが存在します。最も広く使われている代表的な3種類のERCを見てみましょう。

ERC20: 代替性トークン

ERC20トークンは、イーサリアムエコシステムの中で初期に確立されたトークン規格です。必要最低限の機能を持ったスマートコントラクトで管理されています。このスマートコントラクトの機能は、新しいトークンの作成や破棄、別のポートフォリオに転送することです。

主なユースケースは、プロジェクト固有の価値交換、法定通貨に裏付けられたステーブルコインの発行などです。代表的なERC20には、ベーシック・アテンショントークン(BAT)やオーエムジー(OMG)、Enjin(ENJ)などがあります。

ERC721 : 非代替性トークン

ERC721はNFT(Non-FungibleToken)の発行規格です。NFTは非代替性トークンと呼ばれ、所有権や取引履歴を記録することができるため、それぞれが唯一無二の特性を持ちます。例えば、氏名や性別などの個人情報や、ゲーム内で使用されるキャラクターやアイテムなどのユースケースがあります。2017年に大ヒットしたゲーム「CryptoKitties(クリプトキティ―ズ)」では、育成された猫の一つ一つがERC721に記録されて、専門市場に流通しています。

ERC1400:セキュリティトークン

セキュリティトークンには、各国の金融法を遵守した資産が含まれます。株式や債券、負債や不動産の所有権などといった従来の金融商品を表しています。

これらの資産への投資や取引は、従来の金融商品と同様の規制の下で投資家に提供されることがあります。こうした証券(セキュリティ)に適したトークン規格がERC1400です。

ERC1400トークンの特徴は、従来のERC20 トークンのように誰にでも譲渡できる訳ではないことです。

金融法に遵守し、トークンを裏付ける金融商品の安全性を確保するために、取引の認証は第三者が行うことになっています。また、第三者による取引は、これらのトークンを生成したスマートコントラクトによって管理されています。このようにトークンは、既存の法律を遵守しなければならないこともあります。

セキュリティトークンは従来の金融商品をいわばデジタル化したものなので法的な枠組みから、いち早く恩恵を受ける可能性が高いとも考えられます。

③まとめ

現時点では、他のブロックチェーンと比較すると、イーサリアムブロックチェーン上で開発されているプロジェクトやトークンが最も多いでしょう。トークンを作成して管理するためのハードルは、現在では非常に低くなっており、誰でもトークンを発行出来てしまいます。

以前は詐欺まがいのプロジェクトで資金を回収するような動きが見られていますが、昨今では法整備がされていく中でこのような動きはなくなりつつあります。

しかしそれでもまだ様々な詐欺まがいのプロジェクトというのは世界で存在するのも事実です。そのため、悪意のあるプロジェクトを避けるためには、プロジェクト全体の意義や目的をよく理解してからトークンを保有することをおすすめします。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12