激しい値動きで知られる仮想通貨は、初心者にとって難しい投資商品に見えると思います。仮想通貨は投資商品の中でもボラティリティが激しく、市場では急騰や暴投も珍しくありません。投資対象として仮想通貨は、プロから見ても難しいと指摘されています。近年、投資の初心者が仮想通貨市場に参入する傾向がありますが、高いボラティリティの恐ろしさを理解していないと大切な資産を失いかねません。
値動きとは、市場参加者が商品を取引している結果であり、値動きはチャートとなって可視化されます。取引活動は全てチャートに反映されるため、チャートを通して投資家心理を推し量ることができます。そして、チャート分析にはたとえ異なる投資商品でも人間の心理を分析するという意味で汎用性があります。
筆者は、前職で3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、世界経済の分析をしながら日々マーケットと対峙していました。こうした経験を踏まえ、今回はチャート分析において大事なポイントを投資経験の浅い方向けに3つ解説したいと思います。
目次
①初心者が覚えるべきチャート形状3選
ヘッドアンドショルダー(三尊)
チャートの形状で大事な形の一つは「ヘッドアンドショルダー(三尊)」と「逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)」です。個人的には、この形状がチャート形状の中で最も重要ではないかと考えています。ヘッドアンドショルダー(逆ヘッドアンドショルダー)が現れるタイミングはチャートの天井付近か大底付近です。つまりトレンドの変わり目に発生しやすいと言われています。
トレードにおいて利益を安定して上げるためにはエントリーのタイミングが重要となるため、トレンドの変わり目を捉えることは重要です。ヘッドアンドショルダーは、相場の天井や大底を示すチャートパターンであり、三つの山と二つの谷で形成されます。二つの山に挟まれた中心の山のトップが最も高い価格(ピーク)となるチャート形状です。逆ヘッドアンドショルダーはその反対で、三つの谷と二つの山で形成されます。
ヘッドアンドショルダーの名前は両サイドの山がショルダー(肩)、中央の山がヘッド(頭)のように見えることに由来しています。日本では釈迦の左右に菩薩が配置された三尊像に似ていることから「三尊(逆三尊)」とも呼ばれています。
次にこの形状の見方をご説明します。ヘッドアンドショルダーは最初の山を形成した後、その山の高値を更新することによって頭の部分が形成されます。高値更新の段階で上昇の勢いが示されますが、前の山の戻り安値かそれ以下に下落する場合、売り圧力が強まってきた事を意味します。その後反発しても前回の高値を更新することなく下落し、最初の山の戻り安値と次の山の戻り安値を結んだネックラインを価格が下抜けることでヘッドアンドショルダーが完成し、売りシグナルとなります。このようにヘッドアンドショルダーは、上昇トレンドの終息サインとなります。
それでは以下の逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)のチャートをご覧ください。逆ヘッドアンドショルダーは大底付近で出現しやすいチャート形状です。
上図の赤丸はヘッドとショルダーを示しています。そして高値を結んだ赤色の平行線がネックラインです。青色の丸で囲っている範囲に逆ヘッドアンドショルダーを形成しており、緑の丸い枠は上昇トレンドを示しています。多くのトレーダーは、2つ目の赤丸(頭)で大きく大陽線を形成したタイミングから、「逆ヘッドアンドショルダーができるのではないか」とイメージします。
赤の平行線を超えた後、同じ線がサポートラインとなって上昇トレンドに入っているのがわかると思います。このようにトレンドが発生するタイミングではいくつかのヒントが出てくるものです。これらのヒントを見逃さずに対応できると勝率は大きく上がるでしょう。
ダブルトップ(二番天井)
次に紹介するのは「ダブルトップ(二番天井)」や「ダブルボトム(二番底)」と呼ばれるチャートパターンです。二番天井とは、上昇局面において、一時的に価格が下落し、再度高値更新を試みるも、前回高値付近で失速するパターンです。二回高値をつけるもブレイクを失敗していることから「上昇圧力が弱まった」と判断できるためトレンドの変わり目に出やすいパターンです。それでは実際のチャートをチェックしましょう。
上図はビットコインの2017年末のバブル崩壊前後のチャートです。青の丸枠をみてください。高値をつけて最初の高値更新を狙うような動きを見せるも失速し、そこから利食い売りが優勢となりました。9月時点から5倍以上に上昇していたため、特に多くの売りを誘発しました。
その後、何度か反発するも下落トレンドは止まらず、結局高値から3分の1程度まで落ち込みました。このようにトレンドの変わり目で出るのが「二番天井」であり、この逆のパターンが「二番底」です。
トライアングル(三角保ち合い)
最後にご紹介するのは「トライアングル(三角保ち合い)」と呼ばれるチャートパターンです。これもテクニカル分析の基本的なパターンであり、覚えておくととても便利です。
トライアングルとは、価格が常に上下して方向感がなく、徐々に収斂してレンジ幅が徐々に狭くなるチャートパターンです。これはロング(買い持ち)もショート(売り持ち)もポジションが徐々に溜まり、どちらかにパワーが発散される直面の動きと言えます。トライアングルのサポートラインとレジスタンスラインのどちらかを突破すると、その方向に継続するのがセオリーです。では実際のチャートをみていきましょう。
上図は、上下動を繰り返しながら値動きが段々小さくなっているのがわかると思います。下値を切り上げているため上昇圧力が強くも、まだ明確に抵抗線(青色)を突破できるかわからない状況でした。その後、赤丸の位置で抵抗線を突破すると、ショートポジションのストップロスを誘発して上昇を始めました。このように価格の値動きが小さくなっている時は、次に動き始めた時のパワーを蓄積している段階と考えてください。突破した時の力は横ばいの時間が長ければ長いほど大きくなります。また、ブレイクした方向にポジションを取った方が良いと覚えておきましょう。
上図はトライアングルパターンを下方ブレイクした場合です。赤丸の位置でサポートラインをブレイクして大陰線を形成すると、反発せずに下落し続けました。このようにトライアングルは視覚的にわかりやすく、次のポジションも取りやすいので覚えておきましょう。
②チャートパターンを覚えておく理由
ここでは数多くあるチャートパターンの中でも、トレンドの変わり目を判断するのに役立つものを3つご紹介しました。この3つはチャート分析でも高い頻度で利用できると思います。その他のチャートパターンについても、別の記事でご紹介したいと思います。
パターンを覚えることは重要ですが、最も大事なことは「なぜそのようなパターンになりやすいのか?」という値動きの本質を考え、理解することです。そこまで理解しておくと他のパターンが出てきても、値動きから投資家が全体的にどのような考えを持っているのか理解しやすくなります。
最初は覚えることが多く感じるかもしれませんが、一度覚えてしまうとトレードをする上で対応力がついてきます。まずは、この記事で取り上げた3つのチャートパターンを自分のものにして、実際のチャートを使ってトレーダーの行動をシミュレーションしてみましょう。
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中島 翔
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