【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】ビットコイン取引時の注意点とは?

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今回は、ビットコイン取引時の注意点について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. ビットコイン上昇の背景
    1-1. 機関投資家の資金の流入
    1-2. 機関投資家の流入資金の性質
  2. ビットコイン取引時の注意点
    2-1. 価格の絶対値から取引量を定めること
    2-2. 有識者の話は信じるべからず
  3. 大口投資家の動きをチェックすること

仮想通貨市場は去年から値動きの大きい展開が続いており、仮想通貨トレードの経験の浅い投資家の中には難しく感じてる方も多いでしょう。

ビットコインは60,000ドルを突破し、果たしてどこまで上昇するのかわからない動きとなっております。どのような分析が有効なのか色々な議論が繰り広げられていますが、何が正しいかはわからないままです。

ここでは改めてビットコインの上昇の背景とともに、トレーディングの注意点についてまとめていきたいと思います。

①ビットコイン上昇の背景

最初に足元のビットコイン上昇の背景について説明します。筆者の私見も入っているため、全てが正しいという見方はすべきではないですが、参考にしてもらえるといいでしょう。

1-1. 機関投資家の資金の流入

最初の要因としては機関投資家の新規の資金が流入しているということです。機関投資家とはヘッジファンド等大口の資金を運用している投資家のことです。機関投資家は通常、伝統的なアセットクラスと呼ばれる株や債券、ゴールド等を選好します。

コロナ環境下の現状、世界的な金融緩和や量的緩和により各国中央銀行が資金を市場に大量に流し続けています。機関投資家にも資金が大量に流入することになります。

しかし、機関投資家のポートフォリオを見ると、株や債券、ゴールド等は既に保有しています。流入した資金をどこに振り向けるべきか、悩みあぐねている状況に陥ります。消去法であありますが、ファンド運用担当者にしてみれば、「これらの資金の一部を使って仮想通貨に投資することでポートフォリオを変化させる」、という選択肢が浮かびます。

一部と言っても機関投資家の資金は莫大です。数億円程度のフローが時価総額200兆円程度の仮想通貨市場に流入すると、十分なインパクトを生じます。

現在のところ、ファンド運用者が仮想通貨で運用を行う場合、ビットコイン一択になりやすい傾向があります。機関投資家は顧客からいつ換金を要求されても対応できるよう、流動性の高い資産を選択する必要があるからです。「売りたい時に売れないリスク」、つまり「流動性リスク」が高いアルトコインほど、彼らの選択肢からは除外されてしまうでしょう。

1-2. 機関投資家の流入資金の性質

機関投資家の新規流入の性質を考えてみましょう。機関投資家はビットコインの将来性に期待して保有しているのでしょうか?

彼らは単に、金余りのマクロ経済環境と、足元が上昇トレンドなことから、消去法的にビットコインを選択して投資しているのです。そのためビットコインが急落するような動きとなった場合、機関投資家の逃げ足も早くなることは想像に難くありません。機関投資家がビットコイン市場から退却し始めると、下落幅はさらに大きくなりそうです。

機関投資家の兆候をいち早く察知するには、株式市場を見ることも役立つでしょう。新型コロナウィルス対策のために金融緩和が加速する中で、ビットコインは株価に連動やすくなっています。以前は「リスク回避時にビットコインが買われる」とも言われていましたが、現在は違っている様です。チャートを見比べれば株と同時にビットコインも買われていることがわかります。仮に株式市場が暴落するとなると、ビットコインも下落すると考えておいた方がいいでしょう。

BTC NASDAQ
ナスダック総合指数とビットコイン価格の推移

②ビットコイン取引時の注意点

2-1. 価格の絶対値から取引量を定めること

次の注意点は、価格の絶対値から取引量を定めることです。評価額の増減を考慮せずに同じ注文サイズでトレーディングしていると、思わぬリスクをとってしまうことになります。

ビットコインが220万円の時、0.1BTCは約20万円です。しかし、現在ビットコインは600万円なので、0.1BTCは約60万円にも上ります。注文サイズは0.1BTCで一定でも、日本円換算でリスク量が増大してしまうことに注意する必要があります。200万円の時点と比較して、600万円の時点ではリスクを3倍取っているということです。

現在はビットコインの値動きの絶対値も大きくなっており、ビットコインFXの利用者は特に注意が必要です。

常にBTC単位で取引を行っている投資家の場合、日本円でのビットコインの価格が600万円まで上昇しているとすると、BTCの量が変わっていなくても証拠金から計算したリスク量というのは大きくなる可能性があります。

これはとても危険なことを行っているものなのですが、意外と気づかずにいつの間にか証拠金が減少するスピードが早いと感じる投資家もいるようで、レバレッジのリスクやこのBTC単位で取引を行う時の注意点はしっかりと認識しておいた方がいいでしょう。

リスクの取り方というのはビットコインの取引では考えておかないと行けない重要事項の一つです。気づかないうちに大きなリスクを取っていたということがないように上記のリスクを理解しましょう。

2-2. 有識者の話は信じるべからず

有識者の意見や価格の予想というのは信じる必要はありません。むしろ、予想の背景や理由を参考にすると良いでしょう。

間違っても「誰々が1000万円まで上昇すると言ったから購入する」といった行動は止めましょう。価格の行く末は誰も知りませんし予想もできません。筆者自身は価格予想をするのではなく、代わりに個人投資家の投資行動やポジションの傾き等から判断をしてトレードを行っています。他人の予想を信用してトレードすることはありません。

投資は自己責任です。そう考えることができない人は仮想通貨にかかわらず投資全般を控えた方が賢明でしょう。確実に勝てる要素はないため、一旦その点を理解してから投資を行うようにしてください。

一番重要なことは買うタイミング以上に、どのようにリスク管理を徹底してポジションを保有するかということです。

③大口投資家の動きをチェックすること

ビットコイン取引において重要なポイントは、大口の投資家の動きや注文動向を把握することです。これは機関投資家の動向に通じるところもあります。

米大手銀行JPモルガン・チェースのデータによると、2021年第一四半期は「機関投資家と個人投資家がビットコインを購入数量がほぼ同水準」だったことが示されています。数字が、機関投資家の参入を裏付けているのです。

今後ますます、機関投資家の資金フローが重要となるため、チェックしながらどのような行動を取るべきか備えておくようにしましょう。大口がビットコイン相場から逃げ始めると、下落スピードが加速するため注意しなければいけません。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12