気候変動対策に特化したファンドであるTPGライズ・クライメートは9月4日、アフターマーケット向け排出ガス・騒音低減技術を有するMIRATECHを買収したと発表した(*1)。データセンターの利用が増加する中、電力需要の拡大に伴う排出量の課題への対処を進める。
TPGのパートナーを務め、気候変動投資チームのシニア・メンバーでもあるマーク・メズヴィンスキー氏は「MIRATECHはコスト効率に優れ、技術的に高度なソリューションを提供することで、排出量削減に取り組んでいる」と述べた(*1)。今回の買収の一環として、メズヴィンスキー氏はMIRATECHの取締役会に加わる。
MIRATECHはオクラホマ州タルサを拠点とし、アフターマーケットの排出ガス低減ソリューションにおける北米市場のリーダー企業だ。大気汚染と騒音公害を低減する工学ソリューションを提供することによって環境を改善することを中核的な使命とする。
触媒、フィルター、サイレンサー、モニタリングシステムを設計・製造し、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素、粒子状物質、揮発性有機化合物(VOC)、有害大気汚染物質(HAP)など様々な環境汚染物質を大幅に削減・除去を目指す。
特に、定置用電源とデータセンターを中心としたミッションクリティカルな発電から、エンジンの排気工程で排出される汚染物質と騒音に対処する関連サービスを提供している。同社のアフターマーケット・ソリューションは、エネルギー・インフラ、海洋、建設など、脱炭素化が困難なセクターのエンジンからの排出ガスもモニタリングおよび削減する。
MIRATECHのエンジニアリング能力、特に定置用電源に関する専門知識は差別化要因となる。電力需要が既存の送電網の能力を超えて増加し、多くの顧客にとって発電にまつわる柔軟性が最優先事項であり続ける中、同社は専門性を武器に規模を拡大し、増大する需要に対応できる。発電市場が進化を続けるなか、MIRATECHがサービスを提供する他の市場エネルギー・インフラ、産業、OEM、船舶と言った他の市場も成長を続けている。
MIRATECHのデイビッド・ゼントーファー最高経営責任者(CEO)は「人工知能(AI)やクラウド移行に関連するエネルギー需要が増加する中、データセンターの非常用バックアップ電源プロバイダーの中で弊社がリーダーシップを発揮する機会がある。メタン排出量の更なる制限など、世界中で排出規制や大気質基準が強化されているが、我々の製品はそれに対応するのに適している」と語った(*1)。
【参照記事】*1 TPG「Addressing the emissions challenge of growing power demand from increasing data center usage」

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