米ナスダックESGソリューションズは9月6日、サステナブルファイナンス・テクノロジー企業のCruxと提携すると発表した(*1)。両社は提携を通じ、顧客がインフレ削減法(IRA)を通じて提供される税額控除譲渡を活用できるよう支援する。
両社は提携を通じ、企業が税負担を管理する上で税額控除譲渡の重要性と、サステナビリティ目標の達成を後押しする機会に焦点を当てる。
IRAは、太陽光や地熱、風力、エネルギー貯蔵、マイクログリッドなどクリーンエネルギープロジェクトの展開を加速させ、クリーンエネルギー経済へ移行するための資金、プログラム、インセンティブを提供する。IRAの税額控除譲渡により、クリーンエネルギー開発業者や製造業者は、初めて税額控除を第三者に売却して現金化することができるようになった。
この市場メカニズムを導入することで、IRAはクリーンエネルギー関連インフラの開発、革新的な技術、高度な製造を行う企業による資本へのアクセスを拡大し、クレジットを購入する企業の連邦税負担を軽減できる。
税額控除譲渡の仕組みは、様々な業種や規模の企業にとって、投資に対するプラスのリターンを生み出しながらエネルギー転換を支援する機会を提供する。例えば、連邦税の納税義務がある企業は、税額控除譲渡を利用して連邦税の負担を軽減し、更なる価値を引き出すことで、サステナビリティ目標達成を加速させたり、新たな取り組みへの投資に充てたりすることができる。
同時に、税額控除譲渡の対象となる再生可能エネルギーや高度な製品を生産する企業は、より柔軟な資金調達手段を利用することができ、市場参入を促し、クリーン技術の展開を加速させられる。
Cruxは2023年1月、クリーンエネルギーの税額控除譲渡の取引を手始めに、米国におけるクリーンエネルギーおよび脱炭素プロジェクトの資金調達方法を変えることを目標として設定した。
今回の提携により、ナスダックESGソリューションズの顧客は、クリーンエネルギープロジェクト開発業者や製造業者の最大級のネットワークであるCruxのプラットフォームを通じて、コスト削減を実現し、サステナビリティ目標を推進する機会を得られる。力強く急成長する税額控除譲渡の市場に関するCruxの洞察に触れることもできる。
Cruxは今年7月、68億ドルの税額控除譲渡のデータに基づき、2024ミッドイヤー・マーケット・インテリジェンス・レポートを公表した(*2)。同レポートの中でCruxは、税額控除譲渡の市場が引き続き急成長し、年末までには23年の2倍以上となる200億~250億ドルに達すると予測している。
その他にも、取引規模と保険の利用が主要なドライバーとなることで、24年の平均価格は2023年よりも上昇傾向にあり、24年の取引の25%は翌年以降のクレジット譲渡が含まれていると指摘した。
現在利用可能な税額控除は120億ドルを超えている。両社は、税額控除譲渡の市場を初めて利用する顧客と法務・税務アドバイザーが、税額控除譲渡をどのように利用できるかを検討する手助けをする上で良いポジションにいる。同市場の流動性、透明性、効率性を向上させる上で極めて重要な役割を果たせると見ている。
【参照記事】*1 ナスダック「Nasdaq ESG Solutions Collaborates with Crux to Help Companies Unlock Value with Clean Energy Tax Credit Transactions」
【参照記事】*2 Crux「2024 Mid-Year Market Intelligence Report」
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