ESG(環境・社会・ガバナンス)に特化した運用会社ミロバは、同社初のインパクト・プライベートエクイティ・ファンド「Mirova Environment Acceleration Capital(MEAC)」で、2億ユーロ(約320億円)超の最終クローズを実施したと発表した(*1)。クリーンエネルギー、サーキュラーエコノミー(循環経済)、スマートシティ関連企業などに投資する。
ミロバは2021年にインパクト・プライベートエクイティ専用の戦略を立案した。その際の目標が、成長を生み出す主要なトレンドに対応し、革新的なソリューションや技術を支援することで持続可能なビジネスを発展させ、財務的リターンと環境移行支援を両立させることだった。
戦略策定から2年後、MEACは厳しい資金調達環境の中で、環境面で高い影響力を持つ未上場企業に投資するファンドで2億1,100万ユーロを調達した。そのうちの30%は、欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)第9条ファンドのマルチテーマ・アプローチに魅力を感じた個人顧客からのものである。
MEACは環境移行を促進する革新的なソリューションや技術を提供する企業に投資する。クリーンエネルギー、サーキュラーエコノミー、天然資源、農業・アグリテック、スマートシティという5つの投資テーマを柱に据える。
既に欧州と北米の企業10社に8,000万ユーロ以上を投資し、1件のエグジット(売却)を完了している。MEACはGreenfinラベル(#1)を取得しており、Tibiイニシアチブ(#2)の対象にもなっている。
具体的な投資先としては、自動車や鉄道のブレーキシステムから排出される微粒子を捕捉する特許取得済みシステムを有するTallano Technologies、水産養殖やペットフードに使用される昆虫タンパク質の生産を手掛けるAgronutrisなどが挙げられる。
その他にも、低炭素建築物の設計・施工を専門とするVestrack、農業ロボット工学のパイオニア企業であるNaïo Technologies、ドイツの高圧開閉器メーカーのNuventuraなどにも投資した。
ミロバは社会的インパクトに特化した2本目のプライベートエクイティ・ファンド「Mirova Impact Life Essentials(MILE)」も立ち上げた。MILEは「知識とノウハウ」、「福祉と健康」、「責任ある消費」、「多様性と包摂」という4つの投資テーマを掲げる。フランスおよび欧州企業の成長を支援することを目的としており、最初の投資案件は間もなく公開される。同ファンドもSFDR第9条ファンドにある見込みである。
(#1)Greenfinラベル…フランスのエコロジー・持続可能な開発・エネルギー省が創設した政府公認の認証ラベル。
(#2)Tibiイニシアチブ…金融・保険会社などの機関投資家が上場テック企業やレートステージ(成熟段階)のスタートアップ企業への投資をコミットする取り組み。
【参照記事】*1 ミロバ「Mirova exceeds €200 million in commitments for the final closing of its first private equity fund」
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