米国ワイオミング州で、自律分散型組織(DAO:Decentralized Autonomous Organization)を法人として認める法案が2月3日に提出された。州内でブロックチェーン技術などを専門とするイノベーションワーキンググループが明らかにしている。
DAOは、スマートコントラクトによって自動制御される組織だ。ブロックチェーンのようなオープンソースプロジェクトの場合、特定の管理主体が存在せず全ての意思決定がプログラムによって統治されることが一般的となっている。
この意思決定に対する影響力を示すのが、DeFi市場などで注目を集めているガバナンストークンだ。例えば、ステーブルコインDaiの発行および管理を行うDAOであるMakerDAOでは、ガバナンストークンMKRの保有量によって意思決定への影響力が定められている。
つまり、ガバナンストークンは株式会社における議決権と同じ意味を持つということだ。ワイオミング州では、このDAOを法人として認めるための取り組みが進められている。
今回提出された法案が承認された場合、DAOは有限責任会社として扱われることになるという。株式会社の場合「Inc.」や「Ltd.」という表記が用いられるが、DAOの場合は「DAO」や「LLC」が用いられることになるとしている。
法案の施行は2021年7月を目指しており、設立時に定義されたスマートコントラクトに変更を加える場合には、定款も合わせて変更する必要があるとのことだ。非常にユニークかつ洗練された取り組みだといえるだろう。
ワイオミング州は、米国でも規制産業に対して積極的な取り組みを行なっていることで有名な地域だ。2020年9月には大手取引所Krakenに対して、米国初の特別目的委託機関(SPDI)に該当する暗号資産銀行としてのライセンスを付与している。
暗号資産・ブロックチェーンのように規制が大きな影響を与える産業では、特区になりうる特定州の取り組みは重要な意味を持つ。ワイオミング州の他にも、ハワイ州がサンドボックス制度の拡大を図っている。
【参照記事】SF0038 – Decentralized autonomous organizations.
株式会社techtec リサーチチーム
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