ベンチャーキャピタルによるカテゴリー別ブロックチェーンへの投資状況が公表

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米ニューヨークに本拠を置くリサーチ会社のCB Insightsは、ブロックチェーンおよび仮想通貨への投資トレンドに関するレポート「Blockchain Investment Trends In Review」を公表した。同レポートでは、VC(ベンチャーキャピタル)によるブロックチェーンへの投資を大まかに次の5つに分類している。

  1. 仮想通貨ヘッジファンドを通じた仮想通貨およびICOへの投資
  2. 取引所、マイニング企業など、ビットコインと直接関連のある企業への投資
  3. 主にP2P送金のためにビットコインを通貨として扱う企業への投資
  4. メディア、eコマース、本人確認など、より広範なブロックチェーンの活用への投資
  5. 企業向けソフトウェアを開発するプライベートブロックチェーン企業への投資

「仮想通貨ヘッジファンドを通じた仮想通貨およびICOへの投資」については、ICOを取り巻く規制状況がいまだ整っていないなどの理由から、著名なVCは仮想通貨のヘッジファンドに投資する傾向が顕著に見られた。ヘッジファンドの中ではPolychain CapitalとMetaStable Capitalの2つが特に注目を集めたが、SAFT(将来のトークンのための同意書)の仕組みを使ったICOへの直接投資も見られ始めている。

「取引所、マイニング企業など、ビットコインと直接関連のある企業への投資」については、Coinbase、BTC China、Bitmainなど多くの取引所やマイニング企業への投資が行われ、仮想通貨の取引量が増加したことで利益が生まれた。

「主にP2P送金のためにビットコインを通貨として扱う企業への投資」については、ビットコインの決済での活用にVCの注目が集まったが、その価格変動の大きさが障害となった。実際CoinbaseやCircleなど、ビットコイン支払を強みに掲げていた企業の多くは路線変更を行った。その中BitPayは特筆すべき例外で、2013年1月に最初の調達以来、ビットコインでの支払処理を可能にし続けている。

「メディア、eコマース、本人確認など、より広範なブロックチェーンの活用への投資」については、特にビットコインからブロックチェーン全体へと関心が移っていったのに伴い、投資が見られるようになった。VCのUSVとAndreessen Horowitzはブロックチェーンをベースにしたデジタル著作権管理を手がけるMediachainや分散型eコマースのOpenBazaaなどに共同で投資を行った。

「企業向けソフトウェアを開発するプライベートブロックチェーン企業への投資」については、ビットコインやイーサリアムといったパブリックブロックチェーンとは対照的に、プライバシーやセキュリティを重視するプライベートブロックチェーンが注目を集めた。ブロックチェーンのネットワーク効果を弱めているとして批判もされてきたが、Digital Asset、Axoniなどの主要なプロバイダーが多額の資金を調達した。

このようにVCが仮想通貨関連企業に投資するには5つのパターンがある。もちろん、個人投資家はVCのようにプライベート・エクイティに投資することはできないが、昨今隆盛を極めるICOや仮想通貨取引所を通じた仮想通貨購入、取引所を解説するGMOやSBIといった上場企業、ブロックチェーン技術のビジネス向けへの適用を進めるIBM、既に決済システムにブロックチェーン技術を取り込んでいるMastercardやVISAなどに投資をすることは可能だ。個人投資家には一見関わりのない投資トレンドも、今注目を集めるマーケットとして参考にし、それぞれの投資対象のリスクを見極めながら自分が許容できる投資先を選定する際の一助としていただきたい。

【参照サイト】Blockchain Investment Trends In Review
【関連ページ】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法(BTC)

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木村つぐみ

海外ビジネス情報の翻訳、ライティングを幅広く手掛けており、HEDGE GUIDEでは暗号通貨・仮想通貨関連記事を担当しています。暗号通貨・仮想通貨の特に興味深い点は、貨幣の持つ共同幻想性を明るみに出したことだと思っています。初心者の方にも分かりやすい説明を心掛けていきます。