スイスでブロックチェーン上に発行されるデジタル証券(セキュリティトークン)を、既存証券と同様に取り扱う法律が2月1日より施行された。2021年8月を予定している二回目の施行と合わせて法整備が完了する。
「分散型台帳技術関連法(DLT Law)」と称される本法案では、スイスにおけるデジタル証券を新たな金融アセットとして認可することになった。法的な所有権はブロックチェーンを介して証明されるという。
法律面や税制面で業界をリードするスイスでは、以前より世界に先駆けて法整備に力を入れてきた。今回の法改正により、スイスではブロックチェーンが法的な効力を持つようになる。
つまり、ブロックチェーン上での資産の移動に法的根拠を持たせることができ、自身がウォレットで管理する暗号資産の明確な保有者として証明されることを意味する。
これに伴い、SEBA Bank、Sygnum Bank、Crypto Financenoの3社が、新たにデジタル証券の発行を開始した。Sygnum Bankでリーガル責任者を務めるGino Wirthensohn氏は、次のようにコメントしている。
「今回施行された法規制により、アセットのトークン化は法的な観点からも従来の証券化に代わる現実的な手段となりました。Sygnumでは、新たな法制度のもとで顧客のアセットをトークン化する際に使用可能なフレームワークを開発しています。」
Sygnumは、2020年末に自社株式をトークン化してイーサリアム上に発行している。トークン化された株式を使って、スイスとシンガポールで上場することを目指しているという。
Sygnumの株式のように、現実世界に存在しているアセットをトークン化することをトークナイズという。トークナイズされたアセットは、現実世界のものとリンクしブロックチェーンによって所有権が管理される。
例えば、不動産やアート作品などがトークナイズされることが多く、その所有権をブロックチェーンで管理することにより第三者なしに所有権を証明することができるのだ。株式の場合は、ほふり(証券保管振替機構)を仲介させずに所有権を他人へ移譲ないし販売することができる。
Crypto Financeでは既に、不動産や高級品をトークン化した上でブロックチェーンによって所有権を管理するという。ブロックチェーンが法的な効力を持ったことで、今後は現実世界の様々なモノがブロックチェーンによってその所有権を管理されることになるだろう。
【参照記事】Sygnum Bank and Fine Wine Capital issue first tokenized asset under new Swiss DLT law
株式会社techtec リサーチチーム
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