欧州自動車大手ステランティス(ティッカーシンボル:STLA)は10月12日、サーキュラーエコノミー・ビジネスユニットの包括プランを発表した(*1)。同ビジネスユニットにおいて2030年までに売上高20億ユーロ(約3,000億円)超の達成を目指し、38年までのネットゼロ実現という野心的な目標を推進する。
サーキュラーエコノミー・ビジネスユニットは、今年3月に発表された長期戦略計画「Dare Forward 2030」のなかで、7つある事業単位の一つとして明らかにされた。同ビジネスユニットは、車両と部品の寿命を延ばすとともに、素材および使用済み自動車を新たな車・製品の製造工程に再利用することを目指す。これは、軽量なリサイクル素材、持続可能な生産工程、手ごろな価格、製品寿命を延ばす耐久性、リサイクル性などを兼ね備えた電気自動車(EV)コンセプトカー「オリ(OLI)」の中核を成す、「サーキュラーエコノミーを実現する設計」原則に沿うものだ。
同ビジネスユニットでは、リマニュファクチャリング(reman)、リペア(repair)、リユース(reuse)、リサイクル(recycle)という4R戦略の下、責任ある生産を遂行するとともに経済的価値の向上を両立する、厳格で多面的な対策を推進する。4R戦略は地球の資源を保全・保護するのに不可欠なエコシステムとなる。
リマニュファクチャリング(reman)では、EVのバッテリーを含む約12,000点の使用済み、摩耗、欠損した部品を分解・洗浄して再生する。リペア(repari)では、摩耗した部品を修理して顧客の自動車に再び取り付ける。リユース(use)では、使用済み自動車から約450万点のマルチブランドな部品を回収し、eコマースプラットフォームB-Partsを通じて155か国で販売する。リサイクル(recycle)では、スクラップや使用済み自動車からリサイクル部品を回収する。
ステランティスはサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを推進する。今年9月にはイタリア・ミラフィオリ工場をサーキュラーエコノミーハブとすると発表。同ハブは、自動車の修理、解体、部品の再製造を担い、世界にサービスを拡充することを視野に入れる。さらに、各国で製品・素材を確保・利用し、顧客への納車を早める。これらの取り組みを通じ、サーキュラーエコノミー・ビジネスユニットでは、30年までにリサイクルによる売上高を21年比で10倍に拡大するとともに、部品やサービスの寿命を延ばした製品・サービスからの売上高を4倍に増やす計画だ。
そのほか、サーキュラーエコノミー・ビジネスユニットでは、新たな部品・アクセサリー向けラベル「SUSTAINera」を立ちあげる。同ラベルは、同等の新部品・アクセサリーと比較して、最大80%の素材と50%のエネルギーを節約することを示す。
ステランティスは2021年、仏自動車大手グループPSAと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が統合して誕生した。2021年の自動車販売台数は世界4位。傘下に「フィアット」、「ジープ」、「マセラティ」、「アルファ・ロメオ」、「プジョー」、「シトロエン」などのブランドを抱える。「ジープ」については今年10月、30年までに欧州連合(EU)域内の全新車種のEV化を目指す方針を明らかにした。
【参照記事】*1 ステランティス「Stellantis Fosters Circular Economy Ambitions with Dedicated Business Unit to Power New Era of Sustainable Manufacturing and Consumption」
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