5月26日まで88万円前後で推移していたビットコインの価格だが、27日の早朝から価格が急上昇し、1時間ほどで8%以上の価格上昇が見られた。28日には95万円に達した。6月10日現在は、80万円台を推移している。2週間近く経った今、ビットコイン急騰の要因がなんだったのか考えられることをまとめる。
今回のビットコイン急騰の要因について金融・経済・仮想通貨メディアなど各社が報じているが、海外アナリストやメディアに関しても明確な理由を見つけているところは少ない。今回のビットコイン急騰の動きは2017年の仮想通貨バブルと言われるビットコインの急騰と似たような動きを見せているものの、当時の価格上昇要因とは根本的に異なるようだ。
2017年の仮想通貨相場は、一般投資家による新規参入が増大したことや、クジラと呼ばれる大口投資家のマネー流入や集団で価格を押し上げるパンプなどによって価格が操作されていたと言われる。また、詐欺の横行や投機的として利用されていた仮想通貨には他のユースケースも無いことから取引高は衰退していったとされる。しかし今回の市場の再加熱は仮想通貨を投機マネーとしてだけではないと専門家は語る。
まず、急騰の要因として需要の拡大が考えられる。国の情勢が不安定で通貨への信頼が少ないような国では、国境に関係無く機能するビットコインが決済通貨として認識されており、取引量が拡大している。日本国内ではキャッシュレス化が推進されており、地域限定の仮想通貨が発行されるなど、国内外で決済手段として仮想通貨が注目され始めている。次に、資産避難先として選択された可能性が挙げられる。最近では、米中の貿易摩擦に伴った株式相場の下落や英国のEU離脱を引き金とするメイ首相の辞任表明など、国際経済の先行きに暗雲が立ち込めている。
特に米国では投資家の動きに変化があるようで、米著名VCのティム・ドレイパー氏が22日、米経済番組CNBCのインタビューに答えた内容によると、米国では規制強化によって新規公開株式(IPO)が減少したり、自動車配車サービスを提供するウーバーやリフトがIPOをしても成長率に期待できないと投資家から見られており、現状の株式市場に対して投資家は物足りなさを感じている。仮想通貨・ブロックチェーン業界には多くの資本が投入されていると述べている。ただ投資先の優先度としては、ビットコインよりも話題となっている企業のIPOだろうともコメントもしている。
避難通貨・決済通貨・投機先などに利用される仮想通貨だが、マネーロンダリング・テロ資金供与の方法として各国が警戒しており、防止するための国際ルール策定が求められている。世界20各国の財務大臣・中央銀行総裁が集結するG20の会合においては「仮想通貨」もトピックとして挙がっており、FATFがガイドラインの策定をG20から依頼されてきた。6月9日まで行われていた福岡のG20会合によって、FATFのガイダンスを今月中に発表するとした。FATFの本会合は今月21日となっている。投資家から仮想通貨への期待の目が向けられるのか否か、一つの分岐点を迎えようとしている。
【参照記事】 Long time venture capitalist Tim Draper on bitcoin and volatility in the IPO market Tim Draper
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立花 佑
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