米証券取引委員会(SEC)の理事を務めるCaroline Crenshaw氏が、クリプトママことHester Peirce氏の提唱するセーフハーバールールへの反対意見を表明した。毎年恒例となっている「SEC Speaks」に登壇し、10月12日よりSEC公式サイトで全文が公開されている。
セーフハーバールールとは、規制における特例を意味し、緩和された一部特定の規制を満たすことで法律に抵触しないとみなす制度のことだ。セーフハーバールールが存在することで、暗号資産のような黎明期の産業におけるイノベーションを促進させることができると考えられている。
Crenshaw氏は、Peirce氏の提唱するセーフハーバールールについて、暗号資産・ブロックチェーン関連の事業者のみが極端に優遇されてしまうとの懸念を示した。規制に準拠している既存企業が不利益を被ると主張している。
また、仮にセーフハーバールールが2017年ごろに適用されていた場合、当時ブームにあったICOにより投資家に甚大な損害を与えていただろうとも発言している。
Crenshaw氏は、セーフハーバールールを文字通り「港」にたとえ、代わりに「橋」が必要になることを提言した。ここでいう橋とは、SECと暗号資産関連企業が適切な対話を行うことができる環境を意味する。そのためには、民間企業が自ら規制の対応状況を明確にし、SECに共有できるよう努める必要があるという。
Peirce氏は、暗号資産におけるセーフハーバールールとして、プロジェクトが独自トークンを発行してから3年間は証券法の適用外として扱う、といった提案を行なってきた。2021年4月には、その内容を更新するなど定期的に見直しを図り、適用が現実的なものになるよう尽力している。
なお、今回のCrenshaw氏による発言は、昨今暗号資産に対する規制強化の姿勢を示し続けているSEC委員長Gary Gensler氏の意見を擁護するもの、との見解が米メディアを中心に広がっているようだ。
【参照記事】Digital Asset Securities – Common Goals and a Bridge to Better Outcomes
株式会社techtec リサーチチーム
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