グローバル株式市場が低迷する中、輝き続けるのはどのような企業だろうか。シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が6月1日付で日本語版を発表したレポートで、上場企業の四半期決算から考察している。解説は、グローバル株式コア運用戦略の担当ファンドマネジャーであるフランク・トルマン氏。
2022年1-3月期の決算発表シーズンは、大半の企業にとって景況感は良好で、米国S&P500指数の上場企業は10%台前半の増収増益を達成。22年度通期では利益予想は上方修正されることはないものの、大幅に崩れることはない。
しかし、一部のセクターはより困難な状況にある。同期末の収益が減少したセクターの一つはS&P500指数で、その中でも銀行だった。同氏は「引当金の急増が主な要因」と指摘する。引当金とは、将来の損失を見込んで確保しておく資金。引当金の多くは比較的短期間で終了する可能性があり、「より大きな問題は、FRBが経済を軟着陸(ソフトランディング)させることができるか、それとも経済が不況に陥るか」と同氏。不況に陥れば、銀行は不良債権の増加に直面する可能性がある。
もう一つ困難な局面にあるセクターは製造業だ。物理的に商品を作り、それを世界中に出荷することに関わるものは全て、足元で非常に複雑な状況に直面しています。サプライチェーンには多くのコスト圧力がかかっている。
「コスト増加を価格に転嫁する能力こそが、銘柄選択を重視する運用者が注目するポイント。一言でいえば『価格決定力』、つまり需要を破壊することなく価格を引き上げる力の源泉は、ミッション・クリティカル(不可欠な製品・サービス)を有するかにある」と同氏。成功例として、前年比約7%増の値上げを達成したコカ・コーラ、マイクロソフトを挙げ、こうした企業を「インフレ環境を非常に上手く乗り切ることができる」と評した。
同社が足元で特にフォーカスして調査を行っているセクターはエネルギーだ。運用チームでは、原油価格は今後も比較的堅調に推移する可能性が高いと見る。「エネルギー企業が“規律ある資本配分”、つまり支出を抑制することによって、ポジティブ・サプライズが起こるかもしれない」と同氏。これまでのエネルギー・セクターではあまり見られなかったコンセプトだが、「実際にエネルギー企業は掘削活動を増やすかわりに、フリーキャッシュフローの創出と、そのキャッシュを株主に還元することを重視している」という。同社も、グローバル株式運用にあたっては、引き続きエネルギー・セクターに着目して銘柄選定を行っていく方針だ。
【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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