シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は8月17日、企業とのエンゲージメントや実態調査など、サステナビリティへの取り組みを掲載したサステナブル・インベストメント・レポートの2022年第2四半期分の日本語訳を公表した。筆頭のテーマは、温室効果ガスや二酸化炭素(CO2)の排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする「ネットゼロ」への迅速な移行を促すための議決権行使とエンゲージメントの方法。同社は今期、気候変動対策として、石油・ガスの大手企業3社(シェブロン、エクソンモービル、シェル)の気候変動に関する株主提案に議決権行使をする意向を事前に表明し、ネットゼロへの迅速な移行を促している。
3社への表明は、22年初めにBP、コノコフィリップス、オクシデンタル・ペトロリウム、フィリップス66で同様の決議案を支持したことに続くもの。シェブロン、コノコフィリップス、エクソンモービル、フィリップス66は、これらの株主総会決議に賛成票を投じることを決定したという。
「これらの企業のほとんどは2050年またはそれ以前に温室効果ガスの排出をネットゼロにするという野心を抱いているが、対象は事業活動(スコープ1および2)のみの排出に限定されていた。これらの企業は、販売する石油やガスの炭素排出量(スコープ3)を考慮したネットゼロ目標の設定において、同業他社に遅れをとっている」とシュローダーは指摘する。
BP、シェル、オクシデンタル・ペトロリウムの3社にとって、今回の株主総会決議に対する議決権の行使は、これら企業に、スコープ3の排出量を含むネットゼロ達成に引き続き注力して欲しいというシュローダーの要求を示すもの。3社とも、事業活動やエネルギー製品の使用に関連するスコープ1、2、3の温室効果ガスの排出を50年またはそれ以前にネットゼロにするという野心を持ち、気候変動に関する目標の設定を進めている。また、BPとシェルについては、気候変動に関する目標の強化と拡大、脱炭素戦略の策定における進捗を受け、経営陣が株主総会に提出した「セイ・オン・クライメート」決議案を支持した。
セイ・オン・クライメートイニシアチブは、投資家やその他のステークホルダーが、企業が気候変動に関する計画や方針、情報開示を投票に付し、株主がそれに対してフィードバックを提供できるようにすることを奨励するために立ち上げたもの。シュローダーは、セイ・オン・クライメート決議案の提出を歓迎し、各企業のネットゼロへの移行に存在する微妙で複雑な状況を考慮しながら、ケースバイケースで提案を検討する。今年は、現時点で32件のセイ・オン・クライメート決議案のうち69%を支持し、これらの企業やその他の企業と積極的にエンゲージメントを実施、その進捗状況をさらに把握し、必要に応じてさらなる進歩を要求していく方針。
レポートではほか、ソブリンのサステナビリティ課題にどう取り組むか、金融商品市場指令(MiFID)2適合性評価の変更について掲載している。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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