ブロックチェーンの波が中東の銀行を大きく動かそうとしている。サウジアラビアの中央銀行であるサウジアラビア通貨庁とリップル社が、xCurrentを用いて同国の銀行の決済インフラを発展させることに合意したと、2月14日リップル社が発表した。
xCurrentとはリップル社が提供する、国際決済のためのソリューションだ。取引の透明性を確保しつつ、従来の決済システムより安いコストと短い時間で取引を行う。今回サウジアラビア通貨庁と合意したパイロットプログラムに同国の銀行が参加すれば、世界に送金する手段が根本から大きく変わる可能性がある。
今回の合意によりサウジアラビアはRippleNetの100を超える金融機関を利用できるようになり、最新の決済システムの恩恵を受けることが期待できる。また、同国の銀行を利用する顧客も安くて早い安全な取引を行えるようになるだろう。サウジアラビア通貨庁は、希望する同国の銀行にプログラムマネジメントやトレーニングも提供する。
サウジアラビア通貨庁がxCurrentを採用したことで、中央銀行としては世界で2番目にブロックチェーン技術を用いた決済システムの改革を行うことになる。一番早くブロックチェーン技術を取り入れた中央銀行はイギリスのイングランド銀行であり、昨年にはPoC(概念実証)の結果を発表した。
リップル社のDilip Rao氏は、今回の合意がブロックチェーンソリューションに対する金融機関の認識を示すものだと見ている。「世界の中央銀行がブロックチェーン技術を受け入れつつある。クロスボーダー取引を変革させ、企業にとっても消費者にとっても商業取引が容易くなる、価値ある技術だと認められ始めている」と同氏は述べている。
サウジアラビアは世界の中でいち早く先頭に立ち、国内銀行がリップル社のブロックチェーンソリューションにアクセスできる道筋を作った。これに対し同国の銀行はどう反応するのだろうか。中央銀行の決断は話題を呼びそうだ。
【参照サイト】Ripple and Saudi Arabian Monetary Authority (SAMA) Offer Pilot Program for Saudi Banks
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木村つぐみ
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