米証券取引委員会(SEC)理事の「クリプトママ」ことHester Peirce氏が、以前より提案していた暗号資産のセーフハーバールールの内容を更新したことが4月13日に明らかとなった。
セーフハーバールールは規制における特例のことを意味し、緩和された特定の規制を満たすことで法令違反とはしない制度のことだ。セーフハーバールールが存在することにより、黎明期の産業におけるイノベーションを促進させることができると考えられている。
Peirce氏は、暗号資産におけるセーフハーバールールとして、プロジェクトがトークンを発行してから3年間は証券法の適用外として扱う、といった提案を行なっていた。トークン発行直後のプロジェクトは、証券法に準拠するための資金や人材が揃っていないことが多く、証券法を適用してしまってはイノベーションを阻害することになりかねないといった主張している。
今回新たに、「プロジェクトに3年間の猶予期間を設け、この間に分散化を完了させつつその後も半年に1度の頻度でレポートを提出すれば証券法の登録免除規定が適用される」といった項目が追加された。より具体的には、次の3つの変更が加えられている。
- トークンの購入者を保護するためにプロジェクトは半年ごとに活動報告を行い、非開発者でもわかるように専用のエクスプローラーを提供する
- 3年間の猶予期間後にネットワークが分散化した状態で機能している根拠について説明するための報告書を開示する。なお、この報告書は外部顧問によって作成される必要がある
- 十分に分散化されていないと認定された場合には証券登録を行う
セーフハーバールールが適用されることで、トークンが必要なブロックチェーンプロジェクトによるイノベーションを促進することが可能だ。
これまで、SECが正式に証券ではないと認めた暗号資産はビットコインとイーサリアムだけとなっているが、定義は極めて曖昧でありどの暗号資産が証券に該当するのか、といった議論が度々業界の注目を集めてきた。
2020年末には、証券に該当する可能性のある暗号資産XRPを独占的に販売したとして、SECがリップル社を提訴し、今なお解決には至っていない。
【参照記事】Token Safe Harbor Proposal 2.0
株式会社techtec リサーチチーム
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