太陽光発電世界大手カナディアン・ソーラー傘下のリカレント・エナジーは1月23日、世界最大の資産運用会社ブラックロックより5億ドル(約740億円)の出資コミットメントを取得したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、開発パイプラインの拡大を進めるほか、一部の地域ではプロジェクトオーナーおよびオペレーターとしても機能する方針だ。
この5億ドルの投資はリカレントの完全希薄化株式数の20%に相当し、カナディアン・ソーラーが引き続きリカレントの過半数の株式を保有する。リカレントは調達した資金を元手に、価値の高い開発プロジェクトを推進する。
さらに、米国や欧州を含む一部の市場においては、単なるデベロッパーとしての機能に加え、長期所有のオーナー兼オペレーターへと移行する戦略を実行する。この移行により、より多様なポートフォリオを構築し、低リスク通貨でより安定した長期収益が期待できるほか、自らの開発パイプラインにより大きな価値を創造し、所有することができるようになる。
今回の投資の対象地域には、米国、カナダ、スペイン、イタリア、英国、フランス、オランダ、ドイツ、南アフリカ、ブラジル、チリ、コロンビア、オーストラリア、韓国、台湾が含まれる。一方、日本と中国におけるカナディアン・ソーラーのプロジェクト開発事業、中南米と台湾の一部の資産は含まれない。出資の完了には、規制当局の承認および取引契約に基づく一定の条件が必要となる。
太陽エネルギーは、世界中のほとんどの場所で最も手ごろな価格で電力を生産する方法である。国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年から2027年の間に、世界の太陽光発電容量はほぼ3倍になり、世界最大の電源容量になると予測されている(*2)。
特に、米国と欧州における再生可能エネルギーの拡大は、送電網に分散可能で信頼性の高い電力を供給するエネルギー貯蔵の需要を促進している。英調査会社ウッドマッケンジーは、現在から2030年の間に、世界のエネルギー貯蔵の導入量が1,000GWhを超えると見込む(*3)。
今後も市場の拡大見込まれる中、リカレントは世界最大かつ地理的に最も多様なユーティリティスケールの太陽光・蓄電プロジェクト開発プラットフォームの1つとなる。09年以来、世界6大陸で約9GWpの太陽光発電所と3GWhの蓄電池発電所を開発してきた実績を有する。
23年9月30日時点において、同社は太陽光発電で26GW、蓄電池で55GWhの世界的な開発パイプラインを有し、うち13GWと12GWhは相互接続を伴うプロジェクトである。26年までに米国と欧州で4GWの太陽光発電と2GWhの蓄電池の稼働を見込む。
【参照記事】*1 リカレント・エナジー「Recurrent Energy Announces $500 Million Capital Commitment from BlackRock to Grow Its Global Renewable Energy Platform」
【参照記事】*2 国際エネルギー機関「Renewable power’s growth is being turbocharged as countries seek to strengthen energy security」
【参照記事】*3 ウッドマッケンジー「The growth and growth of the global energy storage market」
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