デンマークのエネルギー大手オーステッド(ティッカーシンボル:ORSTED)は、英国の再生可能エネルギー支援スキームの差額決済契約(CfD)にて、世界最大級の洋上風力発電所プロジェクト「Hornsea 3」の事業権を獲得したと発表した(*1)。早ければ2022年末までにも最終投資意思決定を下し、27年より運営を開始する見込みだ。
CfDは発電事業者の再生可能エネルギーへの投資リスクを軽減するため、運転開始から15年間にわたり、対象となる電源の固定価格(ストライクプライス)と市場価格の間の変動する差額を政府が補てんする制度。事業者はオークションで、技術ごとに自社の固定価格と設備容量を提示し競う。
Hornsea 3の洋上風力発電所はヨークシャー沖160kmに位置し、設備容量は2,852MWを誇る。英国の320万世帯の電力需要をまかなう低コスト、クリーン、再生可能なエネルギーを生産する。今回、オーステッドが英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)より事業権を獲得したプロジェクトのストライクプライス(2012年価格)は37.35ポンド/MWhとなる。
同プロジェクトは、英国のエネルギー安全保障戦略の一環として、30年までに洋上風力の発電容量を50GWに増加する政府目標の達成に大きく貢献すると期待されている。英国政府は洋上風力発電を国内最大の輸出機会のひとつと位置づけており、Hornsea 3は競争力のある国内サプライチェーンを構築するうえで重要な役割を演じる。
オーステッドにとっても、Hornsea 3は30年までにグローバルベースで30GWの洋上風力発電を導入するという目標の達成に大きく貢献すると見込む。現在は約7.5GWの洋上風力発電を運営し、約3.5GWの発電所を建設中であり、Hornsea 3を含む、約11GWの事業権を獲得している。
Hornsea 1、2、3からなるHornseaの海域ゾーンの発電能力は5GWを超え、英国の約500万世帯の電力需要をまかなう世界最大の洋上風力発電の開発エリアとなる。同ゾーンでは約2.6GWの設備容量となるHornsea 4も建設計画を策定中である。
マルティン・ノイベルト副最高経営責任者(CEO)は「洋上風力が英国産の電源として大規模にクリーンエネルギーを供給することを再び示す。このことは同国が気候目標を達成し、エネルギーの独立性を高め、地域雇用を創出し、産業の発展に寄与するだろう」と述べた(*1)。
世界を代表する「グリーン銘柄」の一社であるオーステッドは、脱炭素社会の形成に資する取り組みを積極化している。6月には、25年より木くずやワラを原料とする熱電併給(CHP)施設で年間40万トンの炭素を回収・貯留(CCS)する計画を発表した(*2)。
【参照記事】*1 オーステッド「Ørsted awarded contract for world’s single biggest offshore wind farm」
【参照記事】*2 オーステッド「Ørsted to capture and store 400,000 tonnes of carbon in 2025」
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