Meta(旧:Facebook)の主導するDiemプロジェクトが12月8日、暗号資産ウォレット「Novi」を同社傘下のメッセージングアプリWhatsAppに実装したことが明らかとなった。現時点では、米国ユーザーのみ利用可能のようだ。
Noviの公式サイトでは「Noviは瞬時に、安全に、そして手数料なしで送金できる新しい方法」と説明されており、WhatsApp内でNoviを使うことでチャットを離れることなく送金が可能になると紹介された。
Noviは、ステーブルコインDiemを扱うためのウォレットとして開発が進められており、10月から米国とグアテマラにおいて実証実験を行っていた。しかし、今回アプリ内で使用可能となったステーブルコインはPaxosの発行するPax Dollar(USDP)のみとなっており、Diemは使用できない。
ユーザーはNoviアカウントを作成し、WhatsApp内でNoviを利用する。Noviアカウントに米ドルを入金すると自動でUSDPに変換され、そのUSDPを送金する仕組みとなっているようだ。受け取ったUSDPは米ドルに変換し銀行口座に送ることができるほか、アカウント内で保有しておくことも可能であるとしている。
今回の動きについては、NoviがUSDPを使用していることへの懸念も出ている。米国の非営利団体であるOpen Markets Instituteは、USDPがTether(USDT)やUSD Coin(USDC)のような時価総額上位のステーブルコインに比べて流動性や利用率がはるかに低い点を指摘したという。現時点ではDiemは利用できないものの、規制当局の承認が下りればDiemの決済ネットワークが使用可能になる予定だ。
Diemプロジェクトを率いるDavid Marcus氏は、「Naviの目標はこれまでもそしてこれからも、他のデジタルウォレットとの相互運用性を実現することであり、Diemのような決済を目的としたブロックチェーンは現在の決済システムに関わる問題の解決策を提供するために不可欠だと考えている」とコメントした。
WhatApp内でのNoviウォレットは試験的に米国のみで行う予定であるようだが、ユーザーからのフィードバックをもとに他国でのサービス拡大を目指す方針だという。
【参照URL】Novi on WhatsApp
株式会社techtec リサーチチーム
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