ロレアル、インパクト投資ファンドを通じて生物多様性の保全推進。炭素回収、森林・マングローブ再生企業に資金拠出

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仏化粧品大手ロレアル(ティッカーシンボル:RO)は4月20日、同社インパクト投資ファンド「L’Oréal Fund for Nature Regeneration」を通じ、土壌中の炭素回収、森林再生、マングローブ再生に資する革新的な取り組みを実践する企業3社に新たに資金を拠出すると発表した(*1)。同ファンドを活用して生物多様性の保全を推進する。

生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)によると、今後数十年で、約100万種の生物が絶滅する恐れがあり、世界の陸地の75%は著しく改変されてしまったという。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、生物多様性の保全に向けて世界がより強調するよう求めている。そのような中、ロレアルは自社のバリューチェーンを超えて生物多様性に取り組む長期コミットメントを推進していく方針だ。今日までに2,200万ユーロ(約32億4,000万円)を関連プロジェクトに投じることにコミットしたL’Oréal Fund for Nature Regenerationを通じ、各分野で専門性を持つパートナーと共に、劣化した土地・マングローブの再生や、海洋・森林の回復をサポートする。

ビジネスモデル、経済性の面からの実現可能性、ポジティブな環境・ソーシャルインパクトといった基準をもとにデューデリジェンスを実施し、今回はNetZero、ReforesTerra、Mangroves.Nowの3社を選定した。NetZeroはフランスの気候ベンチャーで、大気中から炭素を長期的に除去する取り組みに特化しており、農業廃棄物をバイオ炭へと再生している。ReforesTerraは、アマゾンが直面している最大の課題の一つである、農牧地として利用することで劣化した土地2,000ヘクタールの再生を目指す。Mangroves.Nowは、南アジア地域でコミュニティベースのマングローブ再生プロジェクトを推進する。

ロレアルは2020年に5,000万ユーロ規模のL’Oréal Fund for Nature Regenerationを立ち上げた。翌21年に、英国初のリワイルディング(再野生化)に取り組むReal Wild Estates Companyと、フランスで持続可能な農業を推進するRIZE carbon financingに資金を拠出した。同ファンドは、自然資本投資のパイオニアであるナティクシス・インベストメント・マネジメント傘下のミロヴァ・ナチュラル・キャピタルが運用管理する。

ロレアルは世界最大の化粧品会社として、欧州を代表する株価指数であるユーロ・ストックス50に組み入れられる優良銘柄だ。気候変動分野でも優れた取り組みを実践しており、外部機関から高い評価を得ている。世界的な環境NPOのCDPより、7年連続でトリプルA(気候変動、森林、水の全てでAリスト)評価を受けている。

【参照記事】*1 ロレアル「L’Oréal fund for nature regeneration accelerates biodiversity preservation efforts

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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