国際会計事務所KPMGは7月11日、気候変動に関連するリスクと機会が自社の事業に与える財務的影響の開示を支援することを目的とした新しいデジタルハブ「Clear on Climate Reporting」を立ち上げた(*1)。
気候変動により、幅広いステークホルダーが財務報告に対する監視を強化している。規制当局や投資家などは、企業が気候変動関連の事項(例えばネットゼロのコミットメント)をどのように報告するかに関心を寄せるとともに、気候変動について明確な説明を求めている状況だ。
このような状況に対応すべく、KPMGはClear on Climate Reportingを立ち上げた。企業が気候報告の透明性を向上させるための洞察と指針を提供する。
企業が直面している主な報告事項について、FAQ、ポッドキャスト、動画を通じて解説している。気候変動関連事項の財務的影響を投資家やステークホルダーに明確に説明する方法を検討する際、企業が最初に訪れるべき場所となる。リソースは常に拡充し、定期的に更新する予定であり、排出量に関するセクションは間もなく追加される。
気候変動による物理的影響や低炭素経済への移行により、全ての企業、あるいはその殆どがリスクに直面している。企業は、これらの問題が財務諸表にとって重要かどうかを検討し、利用者が気候変動の影響を理解できるようにすべきである。
全てを網羅する単一の基準はなく、会計を正しく行うにはカバーすべき多くのベースがある。企業にとって重要なのは、ある情報が含まれていた場合、投資家が異なる意思決定を行うかということだ。
最終的には、投資家や規制当局は、企業の財務パフォーマンスとサステナビリティの実績の透明性と関連性を把握したいと考えている。企業の報告の分野では多くのことが起こっており、各企業はサステナビリティ報告の進捗状況においてさまざまな段階にある。
企業がまず着手すべきことの1つは、今日の財務報告書で気候変動を取り上げ、関連要件を遵守し、適用される方針と下される判断を明確化することである。また、企業報告における気候変動関連情報を全て結びつけることも必要である。
KPMGインターナショナルの監査部門グローバルヘッドを務めるラリー・ブラッドリー氏は「年次報告書の冒頭で説明されている内容が、必ずしも利用者が期待するような形で財務諸表に反映されるとは限らない。これは気候変動のケースにしばしば当てはまる。企業が国際財務報告基準(IFRS)に準拠するとともに、財務情報と非財務情報の関連性を明らかにすることが重要である」と述べた(*1)。
【参照記事】*1 KPMG「Launch of KPMG’s Clear on Climate Reporting hub」
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