韓国国会の企画財政委員会は11月30日、暗号資産への課税開始を1年延期することに合意した。本法案は2022年1月1日より、1年間で250万ウォン(約24万円)を超える利益に対して20%の税金を課すものだった。
韓国では、株式投資は5,000万ウォン(約480万円)から課税され、損失を5年間繰り越すことができる。一方で、暗号資産の損失は繰り越すことができない点など、本法案による暗号資産への課税の重さが批判対象となっていた。
他にも大統領官房の公式サイトに、暗号資産の法的制度が曖昧なままで課税することは望ましくないことや、課税インフラが十分に整っていないことなどを指摘する意見が殺到していた。金融規制当局の退陣を求める請願書は25日間で20万以上の署名を集めており、多くの暗号資産投資家は暗号資産と株式の課税案を比較し、不公平な扱いを受けていると判断しているようだ。
批判が相次ぐ中、与野党の議員は来年3月に行われる大統領選挙に向けて、暗号資産の投資家が多い若年層の票を取り込むために暗号資産の課税法案の猶予を公約に掲げていた。その結果、政府の反対を押し切り1年の課税猶予が設けられた次第だ。
野党の「国民の力」議員は10月に、暗号資産への課税対象となる利益を株式と同額の5,000万ウォンとする改正案を作成していた。しかし、この改正案は企画財政部の強い反対により承認されなかったという。
企画財政部は、暗号資産の利益は偶然に利益が発生する投機的な側面があるため、宝くじによる利益と同様の雑所得に分類されるとしており、暗号資産に対して否定的な姿勢が伺える。一方で、与党の代表であるSong Young-gil氏は、ブロックチェーンや暗号資産に対して積極的な姿勢を見せているようだ。
Song氏は18日に、「暗号資産は適切に規制しながら新たなパラダイムシフトを成し遂げなければいけない。また、ブロックチェーン技術を活用したメタバース市場を国家レベルで進めていく必要がある」と発言している。ブロックチェーン特区である釜山には、ブロックチェーン庁を新設し技術の育成を推し進める意向だ。
【参照記事】South Korea Delays Plans to Tax Crypto to 2023
株式会社techtec リサーチチーム
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