国際通貨基金(IMF)が1月25日、世界で初めてビットコインを法定通貨と認めたエルサルバドルに対して、この方針を見直すよう求めていることを明らかにした。IMFとエルサルバドル政府が協議を行ったとされる。
IMFとエルサルバドル政府が協議を行ったのは1月24日、ビットコインを法定通貨として認めることにより、金融市場の安定性や消費者保護に悪影響を与える可能性があることを指摘したという。なお、IMFからエルサルバドル政府に対して正式に勧告が行われたのは、今回で3回目になるようだ。
IMFは1944年に設立され、現在は世界190か国が加盟国として名を連ねている。経済危機の際の資金援助や金融安定化を目的として活動する国際機関だ。
エルサルバドルへの勧告は2021年6月に行われていたとされる。これは、エルサルバドルがビットコインを法定通貨として認める計画を立てていることを発表した直後だ。その後、ビットコイン法が施行された後の11月にも再び勧告を出していたという。
IMFは、エルサルバドル国内で使用されているビットコインウォレットChivoについて、金融包摂を実現するための重要な役割を担うと評価する一方で、厳格な規制と監督の必要性を主張した。併せて、ビットコインを法定通貨としての位置付けから除外することで、ビットコイン法の範囲を限定的にすべきとの見解も示している。また、エルサルバドル政府の発行するビットコイン債券についても懸念を抱いているという。
ビットコイン債券は、エルサルバドル政府が資金調達のために発行するものであり、米ドル建10年債で年率は6.5%に設定されている。調達した資金は、100%再生可能エネルギーで賄われる予定のビットコインシティの設立および運用に充てられる予定だ。
IMFの見解によると、エルサルバドルは新型コロナウイルスの影響などもあり経済が縮小している一方で、公的債務は拡大していると主張。ビットコインの法定通貨化により更なる債務超過が生じる可能性があると指摘した。
【参照記事】IMF Executive Board Concludes 2021 Article IV Consultation with El Salvador
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