年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が7月5日発表した2018年度の運用実績は2兆3795億円のプラス運用となり、3月末の資産額は159兆2154億円に増えた。18年暮れにかけての世界的な株安で10月―12月は14兆8039億円のマイナス運用に転じたが、年明けに米国株価を中心に値を戻し、期末までに回復した。19年1-3月の運用収益額は9兆1463億円の黒字を確保した。
年度の運用実績でプラス運用は3年連続となる。自主運用を開始した2001年度以降の累積収益額は65兆8208億円に積み上がり、運用資産額は過去最大となった。GPIFの運用は長期投資・分散投資を原則としており、19年3月末時点で資産の構成比は国内債券26.3%、短期資産7.67%、国内株式23.55%、外国債券16.95%、外国株式25.53%と、資産の過半数を国内外の株式が占める。現状の運用は順調に見えるが、株式投資のウエートが高まればボラティリティー(価格変動率)のリスクも大きくなる。GPIFも「米中の貿易摩擦などで一時、世界的な株価下落があり、「安全性を考えると直ちに投資できる局面が少なかった」(高橋則広理事長)との認識を持つ。
目下はESG(環境・社会・ガバナンス)投資に注力している。企業の持続的な成長や安定性を促進し、株価の上昇や安定した配当などの長期的なプラス効果を見込む。GPIFは「ユニバーサル・オーナー(広範な資産を持つ資金規模の大きい投資家)」かつ「超長期投資家(100年を視野に入れた年金制度の一端を担う)」を基本的な考え方として、17年からESG投資を本格的に開始。投資にあたってはESGの取り組みに基づいた投資を行うため「ESG指数」を採用している。
また、運用受託機関に対しては「建設的な対話」を促し、「最終的に『長期的なリターンの向上』というインベストメント・チェーンにおけるウィン-ウィン環境の構築を目指すことによりスチュワードシップ責任を果たしていく」方針。企業のESG課題に対する対応や情報開示を促進する活動の一環として17年度から「ESG活動報告」を公表。今夏公表予定の18年度版は気候変動関連の情報開示を強化している。
【参考記事】GPIF「「2018(平成30)年度業務概況書(PDF)」
HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム
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