仏金融大手ソシエテ・ジェネラル(ティッカーシンボル:GLE)は2022年10月24日、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた新たな中間目標を設定した(*1)。エネルギー業界向けエクスポージャー(#1)を削減するとともに、25年までのサステナブルファイナンス累計実行額で3,000億ユーロ(約44兆円)を目指し、エネルギー・トランジション(#2)を積極的にサポートする。
同社は、気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」に整合したポートフォリオの構築を図っている。新中間目標では、電力セクターの炭素強度の削減を進めるべく、30年までに二酸化炭素(CO2)排出原単位を125g/kWhとする(従来目標は163g/kWh)。これは、国際エネルギー機関(IEA)のネットゼロシナリオで示された138g/kWhよりも若干野心的な目標となる。電力業界向けの脱炭素融資を加速し、再生可能エネルギー分野のファイナンスを増加させる一方、炭素集約度の高い業界向け融資の削減を進め、エネルギーミックスの改善も図る。
石油・ガス業界向けでは、温室効果ガス(GHG)排出量を19年比20%削減する(従来は10%減)。新たに石油・ガスの最終消費における絶対排出量を30年までに19年比で30%削減を図る。ソシエテ・ジェネラルは20年、石油・ガス業界向けエクスポージャーを削減する短期目標に最初にコミットしたグローバルバンクの一行である(25年までに19年比10%減)。
石炭業界向けの投融資停止は順調な進捗を見せており、欧州連合(EU)と経済協力開発機構(OECD)加盟国では30年までに、その他の国々では40年までに完全停止する見通しである。
ソシエテ・ジェネラルは社会的責任(CSR)ポリシーの下、顧客の脱炭素化目標の達成を積極的に後押しすべく、各産業に適した持続可能なソリューションを提供する。20年間にわたり、再生可能エネルギー向けファイナンスを促進するとともに、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの開発を手がけてきた。国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)のような国際機関や水素協議会のような業界アライアンスおよびワーキンググループへ積極的に参画・連携している。
さらに「ESG by Design」と呼ばれる業務プログラムを開始。CSRロードマップの実行を後押しするとともに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の課題を業務プロセス全体に組み込む。全従業員に脱炭素化に関するCSR研修の提供を目指すプログラムも行っている。
ソシエテ・ジェネラルは、トムソン・ロイター社が発行する世界的な金融専門誌インターナショナル・ファイナンシング・レビュー(IFR)誌より、サステナブルファイナンス部門で首位を獲得。金融業界で最も権威ある賞の一つとされるユーロマネー誌からは、トランジション・ストラテジー部門で「ワールド・ベストバンク」賞を受賞している。
巨額の資金を扱う金融機関は、世界のマネーをESG分野に振り向けるうえで重要なプレーヤーとなる。とくに、欧州の金融機関はサステナブルファイナンスで先行しており、仏BNPパリバ(BNP)は25年までに、サステナブルローン、サステナブルボンド、サステナブル投資を合わせたサステナブルファイナンス累計実行額で6,500億ユーロを目指す。
(#1)エクスポージャー…投資家が保有する資産のうち、特定のリスクにさらされている資産の割合のこと。
(#2)エネルギー・トランジション…従来の石炭や石油などの化石燃料を中心とするエネルギー構成から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを中心としたものに大きく転換していくこと。
【参照記事】*1 ソシエテ・ジェネラル「Supporting the energy transition: Societe Generale accelerates the alignment of its Energy sector portfolio」
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