独物流大手ドイツポストDHLグループ(ティッカーシンボル:DPW)傘下のコントラクトロジスティクス(#1)プロバイダーであるDHLサプライチェーンは、2022年11月時点で欧州各地で延べ40万平方メートル規模のカーボンニュートラルな倉庫を建設している(*1)。顧客の業容拡大をサポートするとともに高いサステナビリティ基準を満たす狙いがある。
予定では、ドイツ、オランダ、スウェーデン、フィンランド、イタリア、ポーランドの物流要所10カ所に14ユニット建設する。様々な産業の荷主のニーズに対応したマルチモーダルな倉庫となる。建物環境性能評価システム「BREEAM」の認証ランクで「Excellent」を、省エネ認証「EPC」のランク「A」の取得を目指す。さらに、欧州連合(EU)のタクソノミーに適合するほか、不動産の脱炭素化の移行経路を科学的根拠に基づき導出する「CRREM」のリスク分析ツールを活用する。
DHLサプライチェーン欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当最高経営責任者(CEO)を務めるヘンドリック・ベンター氏は「われわれが建設する全ての建物は、サステナビリティ、デジタル化、立地、人口動態、保有期間といった不動産ファンダメンタルズが優れている。主要な販売市場へのコネクティビティ性が高いため、配送時間を短縮できるほか、魅力的な雇用を生みだせる」と述べた(*1)。
DHLサプライチェーンが開発する倉庫ポートフォリオのうち半分については、戦略的パートナーとなる独保険大手アリアンツ(ALV)傘下の不動産会社アリアンツ・リアル・エステートへ売却するための交渉を始めた。2023年第1四半期から24年第1四半期の間に売却が完了する見込みだ。
世界最大級の郵便・物流企業であるドイツポストDHLグループは、郵便、国際航空、海上輸送、コントラクトロジスティクスといった事業でサステナブルな取り組みを推進する。航空・海上輸送サービスを手掛けるDHLグローバルフォワーディングは、21年1月以降、すべての小口混載貨物(LCL)の海上輸送でカーボンニュートラルを実現している(*2)。郵便物や小包の配送事業を手がけるドイツポストは、郵便(レターメール)業務で発生する二酸化炭素(CO2)のすべてを自動的にオフセットするサービスを開始した(*3)。
(#1)コントラクトロジスティクス…サード・パーティ・ロジスティクスとも呼ぶ。荷主がサードパーティに物流業務全般もしくは一部を委託するアウトソーシングサービス。
【参照記事】*1 ドイツポストDHL「DHL Supply Chain Develops 400,000 sqm of Carbon Neutral Warehouses for Customers in European Key Markets」
【関連記事】*2 ドイツポストDHL、LCL海上輸送でカーボンニュートラルを実現
【関連記事】*3 ドイツポストDHL、顧客負担無しで郵便業務から生じるCO2をオフセット

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