オリックス傘下資産運用会社ロベコ、生物多様性への脅威低減・自然復元を役立てる企業の株式戦略運用

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リース大手オリックス(銘柄コード:8591)傘下の資産運用会社ロベコは昨年10月から「ロベコSAM生物多様性株式戦略」の運用を開始(*1)。ネイチャー・ポジティブな世界への移行を通じて恩恵を受ける企業への投資を進めている。

ロベコSAM生物多様性株式戦略は、天然資源や生態系サービスの持続可能な利用を後押しする企業に加え、生物多様性への脅威を低減し、自然の生息地の復元に資するテクノロジー、製品、サービスに投資する。

同運用戦略は確信度の高い銘柄に投資するテーマ型投資戦略となる。また、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標9「産業と技術革新の基礎をつくろう」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成に寄与する。

投資ユニバースは約250社を対象とする。そのなかから、持続可能な土地利用、淡水ネットワーク、海洋システム、トレーサブル製品という4つの投資テーマで約40~80社を選定する。具体的な領域としては、環境の回復、森林再生、排水処理、有害廃棄物の管理、養殖、持続可能な漁業が挙げられる。トレーサブル製品にはオーガニック食品・飲料、エコフレンドリーな家具や化粧品などへの投資機会を模索する。

セクター別では生活必需品が銘柄全体の3分の1を、工業が4分の1を占め、地域別では欧州と米国がそれぞれ40%を構成する見通しだ。また、ポートフォリオ保有銘柄の約25%の企業に対してエンゲージメントを行い、当該企業による生物多様性への貢献を更に改善するよう働きかける。

ロベコSAM生物多様性株式戦略のポートフォリオマネジャーを務めるデービッド・トーマス氏は「未来の市場の勝者を探すべく、種の絶滅の4分の3ほどを占める農業、林業、漁業、水産養殖業の持続可能な取り組みに早くから焦点を当てる。」と述べた(*1)。

世界経済フォーラム(WEF)は、世界の総GDP(国内総生産)の半分以上の44兆ドル(約6,500兆円)相当の経済価値の創出が、自然とそのサービスに依存していると試算する。そして、自然システムが崩れることにより、経済・金融システムはリスクにさらされているという。WEFが毎年1月に公表するグローバル・リスク報告書では、次の10年間に起こり得るグローバル・リスク上位10件のうち、生物多様性の損失は3位にランクする。これは感染症(6位)や経済地理的紛争(10位)よりも高い。生物多様性に配慮した投資の潜在市場も大きなものだ。WEFは同市場が30年までに10兆米ドル超になると見込む。この投資機会は、主に自然損失の約80%を占める食糧、インフラ、エネルギーシステムの変革に伴う。

気候変動と並び世界中で注目される生物多様性を巡っては、多くの金融機関が関連のファンドを組成している。たとえば、英金融大手HSBCホールディングス(ティッカーシンボル:HSBC)傘下のHSBCアセットマネジメントが、生物多様性の保全に積極的に取り組む企業を投資対象としたETF「HSBC World ESG Biodiversity Screened Equity UCITS ETF」を発行した(*2)。生物多様性の観点から銘柄をスクリーニングするETFとしては世界初になる。仏金融大手BNPパリバ(BNP)傘下のBNPパリバ・アセット・マネジメントも、生物多様性への影響低減につながる企業へ投資するETF「BNP Paribas Easy ESG Eurozone Biodiversity Leaders PAB UCITS ETF」を設定した。

【参照記事】*1 ロベコ「Robeco to launch Biodiversity Equities strategy
【関連記事】*2 HSBCアセット、生物多様性関連ETFを発行。同種で世界初

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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